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2006年09月01日

第2章 大航海 魔の海域

復習する

嵐の海域

「残念ナガラ私タチハコレ以上先ヘハ進メマセン。」グリッピーが言った。
「コレカラ先ハ、磁気嵐ガアリ私タチノ方向感覚ガ狂ワサレテシマイマス。私タチノ仲間ガ大挙シテ海岸ニ乗リ上ゲテ死ニイタルコトガアリマスガ、アレハ磁気嵐ノセイナノデス。本当ハズットオ供ヲシタイ気持チデイッパイナノデスガオ許シ下サイ。」イルカたちは別れを惜しみながら、今泳いできた途を戻っていった。

「諸君、我々の船『カメレオン号』はもうすぐ目的の海域に到達する。」
と、海江田船長が力強く言い、続けて、
「私たちの目的は、この海域の海底に眠るある鉱物を採集することである。ある鉱物と言うのは、我々が『フー岩』と名づけたのだが、空気より軽い鉱物である。」
「空気より軽い鉱物だって。」
「そんなものあるわけ無いじゃん。」
と、子供達は口々にいう。
「常識的には、大気より軽いものは、地球が出来上がる過程で宇宙へ飛び出して行った。と、考えるのが普通だろう。」
と、海江田船長。
「しかし、広い地球上のこといろんなことが起こっても不思議が無い。現に、二酸化炭素が海の中で、液体になって貯まっているところがある。皆も知っていると思うけど、二酸化炭素は、固体ではドライアイスと呼ばれ、それが溶けると二酸化炭素ガスになる。つまり、液体の二酸化炭素は存在しないのに、海中には二酸化炭素のプールがある。
灼熱の地球が長い年月を経て固まってから後に、フー岩の原料の鉱物が宇宙から飛んできて偶然にも地球に捕捉されたということは考えられないだろうか。以前にも言った様に、あの海域は小惑星が衝突した場所で、磁気異常が見られる。更に、質量異常、つまりあの海域の岩石の質量が異常に少ないことが判明している。どうやら衝突した小惑星が、衝突した時のスピードとエネルギーとで地球の岩石を溶かし、混ざり合ってしまったようだ。陸地に衝突したところも同じようになったが、高温のためどろどろに溶けて、軽いものは大気に放出され、再び宇宙へ旅立っていった。一方、海に衝突した方は、海水によって急激に冷されそのまま固まってしまった。と言うのが我々の仮説である。いずれにしても、そこに空気より軽い鉱物が存在すると言うことは紛れもない事実だ。」
と、船長は続けた。
「その鉱物を利用して、我々は宇宙船を作る。今までの宇宙船はロケットの推進力を利用して大気圏から離脱していったが、我々は、フー岩の浮力を利用して宇宙に飛び立つ技術を開発した。火薬や化石エネルギーはほとんど使わないことになるから、打ち上げの時の危険度を格段に軽減できる。考えてもみたまえ、宇宙を飛んでいる隕石や彗星、小惑星、恒星にはエンジンのような推進力をつけるものはなにもない。しかし、とてつもない早さで宇宙空間を飛んでいる。要するに宇宙空間を飛行するには燃料はいらないんだよ。」
ドクターが得意げに解説した。
いつの間にか積乱雲が成長してきて、今まで穏やかだった天候が暴れだした。
空は見る間に掻き曇り、大粒の雨が船体にたたき付けてきた。
雷鳴がとどろき、稲妻が炸裂する。
『カメレオン号』は、波間に揺れる木の葉のように翻弄される。
子供たちは、船室に一塊になり毛布をかぶって震えていた。
今までに経験した暴風雨や嵐など、とても足元にも及ばないほどのすさまじさだった。
海は益々凶暴になり、大きなうねりとなって『カメレオン号』に襲いかかる。
うねりがだんだんせり上がってゆき、頂点に達したかと思うまもなく、ワイヤーを切られたエレベーターのように急降下を開始する。
いくどとなく続く急降下に、ほとんどの乗員が船酔いにかかっていた。
暴風雨に襲われてはや、丸1日が経とうとしていた。
乗員の体力も既に限界に達していた。
「何とか抜け出さないことには、この船は持たないぞ。」
海江田船長は、『カメレオン号』を暴風雨から避難させるべく、操縦桿を握っていたが、思うように操れない。船長の意思に反して、『カメレオン号』は暴風圏の最深部へと進んでいく。
うねりはなおも勢いを増し、『カメレオン号』は百メートルをはるかに超す波頭の頂点にあった。そのまま絶叫マシンのように急降下し始めた。このまま行けば船は壊れる。海江田船長は本心そう思った。
『カメレオン号』が急降下し始めた刹那、頭上で凄まじい音響の雷鳴がとどろき、閃光が炸裂し、落雷した。
と、誰もが感じた。

船は跡形もなく海面から消えた。
時空の結界を越えた。

第3章 怪奇島 巨石像(1)へ続く
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2006年09月03日

第3章 怪奇島 巨石像(1)

復習する

巨石像

『サスケ』達は嵐の海で磁気嵐と落雷にあい、時空の結界を越えてしまったらしい。『サスケ』達を乗せた『カメレオン号』は、無惨にも白砂の海岸に打ち上げられていた。仲間は全員ばらばらに、砂の上に倒れていた。
先ほどの嵐が何事も無かったかのように、明るく暖かな日差しが『カメレオン号』と乗組員にさんさんと降り注いでいた。
『カメレオン号』のマストの先には、何時飛んできたのかあのヤタガラスの勘三郎が留まって、事の成り行きを見守っていた。
正体不明の船と異国人の出現に、島の住民たちは我先にと集まってきて、遠巻きに眺めていたが、一定の距離を保ち、それ以上には決して近づこうとはしなかった。
いつの間にか、人だかりは30人を優に超えていた。
そして丘の上や海岸線にたたずむ、巨石像も彼らを見下ろしていた。巨石像の瞳は心なしか愁いを帯びているようにみえた。この日の来るのを待ちわびていたように。
 最初に目を覚ましたのは、学者君(野口博士)だった。
 彼はうつぶせに砂の上に倒れていたが、やがて目を覚ましたらしく、ゆっくりと上体を起こし始めた。
 学者君は未だに事態を飲み込めていない様子で、頭を左右に振りながら辺りを眺め回した。うっすらと、記憶が蘇ってきたようだ。
 「そうだ。僕たちは太平洋の真ん中で嵐に巻き込まれたのだ。確か、目の前で稲妻が炸裂したまでは覚えているが、その後どうなったかは全く覚えて無い。」
 気がつくと、砂の上に倒れている自分があった。
「どうやら命は助かったようだ。」
と、つぶやいた。
「皆は大丈夫だろうか。」急に、仲間のことが気になった。
学者君は、まだ焦点の定まらない両目を目一杯見開き、仲間を捜し求めていた。
彼の目には、砂浜に倒れている大勢の仲間の姿が映った。
「どうか無事でいてくれ。」
と、祈らずにはいられなかった。
学者君の思いは杞憂にすぎなかった。皆は次々と目を覚まし始めた。
「やあ、大丈夫か。」「ぼくは無事だ。」「わたしも大丈夫よ。」
皆は口々に、仲間の無事を確認しあった。
どうやら全員無事のようである。
「ここはどこだろう。沢山の巨大な石像がぼくたちを見下ろしているよ。」
「イースター島の石像のようなものがたくさんあるわね。」
「でも、ぼくたちが嵐にあった海域は、イースター島からはだいぶ離れているから、違うんじゃないの。」
「とにかく全員無事で何よりだ。」

突然の侵入者が起き上がり、動き出したのを見て、島の住民たちはざわめきだした。
その中の一人の青年が、意を決したように近づいてきた。
「はじめまして。私はアドルフといいます。この島の青年部の者です。あなたたちは何者ですか。そして何処から来たのですか。この島の掟では、残念ながらよそ者は上陸できない事になっているのです。わたしたちの何代も何代も前の時代に、侵略者たちが大勢でこの島に現れ、わたしたちの文化や伝統を見るも無惨にしたことがあるのです。人々の心はすさみ、殺戮と強奪の時代が何代にもわたって続きました。金銀財宝、珊瑚など金目の物はほとんど持ち出されました。侵略者たちは、この島から奪う物がなくなったことを知って、島から出ていきました。
それを機会に、外国とは関係を持たない鎖国制を執ったのです。
文明から遅れても良い。貧乏でも良い。その代わり、わたしたちは民族の誇りと、文化を大切にすることにしたのです。
そして今から100年ほど前、ようやく平穏な日々が訪れたのです。わたしたちは、この平和な暮らしを失いたくないのです。」
と、青年はいった。
自分たちの船が航海中に嵐に遭い、気がつくとこの砂浜に打ち上げられていたことを、海江田船長が伝えた。そして、自分たちは決して怪しい者ではないし、島の平和を脅かす者でもない。船の状態を点検したり、食糧や水の確保、たぶん船も修理したりしなければいけないので、出来れば暫く上陸を認めて欲しい旨をお願いした。
アドルフは、白いあごひげをはやした老人の所に引き返し、何事か話していたが、やがて船長の前に戻り、話し始めた。
「クプクプ長老はこう言われた。『我々は争いごとを好まない。よそ者を島に入れると必ず争いごとが起こる。従って、よそ者は絶対に入れない定めなのだが、なぜか、我々の守護神であるヤタガラスの勘三郎様が上陸をお認めになったので、特別に許可することにした。ただし、どんな些細なことでも島民といざこざを起こしたり、島にとって迷惑な行いがあったときは、直ちに立ち去っていただく。』とな。」
「それは助かります。できるだけ早く出発できるよう努力致しますので、お願い致します。」
『カメレオン号』のマストに止まってじっと様子を眺めていたヤタガラスの勘三郎は、アドルフがクプクプ長老の伝言を伝え終わると、一声『クアー』と鳴いて、島の西の方にある林に向かって飛び去っていった。

巨石像(2)へ続く

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2006年09月04日

第3章 怪奇島 巨石像(2)

復習する


「また、ヤタガラスの勘三郎さんが現れた。我々は、何処からか監視されているようで妙な気分だな。奴は俺たちにとって福の神なのか、疫病神なのか。どっちなんだろう。」
と、マンガ君がいぶかしがる。
「前にも言ったけど、神話の中に出てくるヤタガラスは神武天皇が東征のおり熊野から大和(やまと)に入るときに天皇を先導したというありがたい鳥だから、われわれの守り神だと思うとるよ。」
と、メガネ君のお父さんの安部太一さんが言った。
「でも、それは神武天皇にとってのことであって、大和にいた者にとっては、やっぱり疫病神じゃないの。」
と、マリアさんがいった。

ところで謎の侵入者二人組はどうしたかと言うと、実は最初に目覚めたのは、学者君ではなく、この二人組だったのである。
「おい。弐右衛門半。大丈夫か。」アルフレッド・ルパンは傍らに倒れている石川弐右衛門半を揺すった。一度では反応しなかったが、再度激しく揺すると、弐右衛門半は目覚めた。
「あっ、おやびん。ご無事でしたか。」弐右衛門半は焦点の定まらない目でルパンを見た。
「いやぁ、大変な目にあった。こんなにすさまじい嵐は今まで経験したこともない。稲妻が炸裂したと思った瞬間、船は竜巻に巻き上げられたように、宙に舞った。後は何も覚えていない。気がついたら、この有り様だ。とりあえず、体は何ともないようだし、船の連中は未だ目覚めていないようだから、見つからないうちに身を潜めることにしよう。」
幸いにも、島の住民たちはまだ、様子を伺いに来るものは無かった。島民が集る前に目覚めた二人は、砂浜に自分の体が隠れるほどの穴を掘り、その中に身を潜め上に砂浜の色に似た布をかけ、息を殺してじっとしていた。忍者が良く使う土遁の術である。二人は自分たちの気配も見事に消し去った。

「この島の名前はパスクアといいます。大きい島と言う意味があります。貴方たちが今いるこの場所はアナケナといい、島で唯一の白砂の浜辺です。」
と、アドルフ青年は説明した。
「この島には、あそこにあるような石の像がたくさんあります。さすがに、侵略者たちも、ただ大きいだけで重たいこの巨大な石像は持っていく価値がないと判断したらしく、島にほとんど残されています。しかしながら、侵略者たちの恐怖心をあおったのでしょう、倒されたり、壊されたりした石像も少なくありません。わたしたちは、今その像を出来るだけ、元に戻そうと修復作業をしているところです。」
と言って、アドルフは丘の上に立ち並ぶ巨石像を指差した。
アナケナの巨石像は大きな帽子をかぶり、皆同じ方角を向いていた。
アドルフの説明では、この島にはアナケナ以外にも、巨石像の遺跡が数多くあるとのことだった。
『サスケ』たち子どもはアドルフの説明に興味を抱き、島の探検に行きたいと思っていた。

一行は『カメレオン号』を海に戻し停泊させる準備に取り掛かった。幸い海に浮かべることはできたが長い航海に耐えることは難しそうなほど損傷がひどかった。
しかたなく船の修理が済むまで停泊を余儀なくさせられた。
「海図には載っていないんだ。ここが何処だかも分からない。GPS(全地球測位システム)の情報ではここは水深5000メートルもある海の上ということになるのだが、われわれはこうして間違いなく陸の上にいる。不思議なこともあるものだ。GPSは正常に作動していないのかもしれない。」
と海江田船長は小首をかしげた。
「ここはどこなんだろう。そしてあんなに巨大な石像は、誰が何のために作ったんだろう。」
と、マンガ君が言った。
「何かのシンボルにしては数が多いし。皆同じ方向を向いているのにも何か意味があるのかな。」
と、『サスケ』。

「GPSが誤作動でなければ、ぼく達は時空を超えてしまったのかもしれない。あの嵐の海域では、今までも何艘もの船舶が忽然と姿を消しているので、恐怖のトライアングルといわれている。」
と、学者君。
「コンピュータゲームのように時空を超えることって本当に出来るのかな。」
とメガネ君は小声で言った。
「なんとも言えないね。SFの世界では日常茶飯事の出来事だし、ドラえもんの『どこでもドア』のようにどこでも行ける時空間移動装置だって発明されるかもしれないからね。ぼく達の現実問題として、ぼく達は海図にも無い島にいるということだよ。」
と、学者君が言った。
「とりあえず、明日皆でこの辺の探索をしようじゃないか。」
と高校生のノッポ君(真田竜馬)が言った。
みんなは、口々に「探検に行こう。」「探検に行きたい。」と言った。
これで決まりだ。明日は、島の探検だ。

探索へ続く


posted by 冬野☆男 at 23:28| Comment(0) | TrackBack(1) | 第3章 怪奇島 巨石像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月06日

第3章 怪奇島 探索

復習する


探索

前の晩から、子供たちは大はしゃぎで、探検の話で持ちきりだった。
「あの大きな石像は、イースター島のモアイに似ているよね。」
「でも、GPSで見る限り、ここはイースター島じゃないだろう。」
「そうなんだよね。船長が言っていたけど、どう見てもここは太平洋の水深5000メートルの洋上だというんだ。」
「それじゃ、この島は何処なんだろう。」
「僕は、ここはイースター島じゃなくて、イースのような気がする。古典的なロールプレーンゲームの『イース』のオープニングに似ていると思わないかい。嵐にあったアドルフが流れ着いたところがイースという国だった。」
「そういえば、親切にしてくれた村の青年は確かアドルフって名乗っていましたね。」
「アドルフは嵐に遭遇して、時空の結界を越えたんだよ。」
「俺はあのゲームまだクリアーできていないんだ。」
「イースって、ファイナルファンタージーや、ドラクエのように爆発的には売れなかったようだけど、古典的ゲームとしては結構売れたよね。」
翌朝、子ども達は探検の準備に大わらわ。装備を調えたり、おやつを用意したりと、それこそハイキングにでも行くような気分で、身も心もうきうきしていた。
準備万端整い、さぁ出発というとき、アドルフさんが現れた。
アドルフ青年はクプクプ長老の言いつけで、異邦人の監視にきたのだった。
「やぁ、こんにちは。皆で集まってどこかへ出かけるのですか。」
と、アドルフさん。
「ぼく達、これから島の探検に行こうと思っていたところです。」
と、学者君。
「島民といざこざを起こさないようくれぐれも注意してください。それと、この島にはいたるところに貴重な遺跡があります。遺跡の中のものを持ち出したり、動植物も荒らさないで下さいね。気が進まないけど、何か面倒が起こるといけないのでぼくが道案内をしてさしあげましょう。」
と、アドルフさん。
「まず、遠くへ出かける前に、この辺の案内から始めましょうか。」
と、言ってアドルフさんは歩き出した。
「この巨大な石像たちはアフという台座の上に乗っています。頭の上に乗っている帽子のような物はプカオと言います。」
アドルフさんの説明にぼく達は耳を傾けていた。
『サスケ』の頭の中では、昨日浮かんだ疑問がさらに大きくふくらんでいった。
『これらの石像は何の目的で作られたのだろう。』
「これが、ホツマツアの像です。」と、あたりの石像よりもさらに大きく、年代物の石像をさして、アドルフさんは言った。
「ホツマツアって、誰ですか。」
と、メガネ君。
「ホツマツアとは、この島の初代王様のことです。とても名君で、島民から敬われています。この島の憲法ともいえる『島民心得』もホツマツアが作りました。」
と、アドルフさん。
『サスケ』達が、巨石像の周りを歩き回っていると、岩の上に、人工的に何かの絵が彫られている物が見つかった。
「あれ、これっているかのグリッピーと、ヤタガラスの勘三郎じゃない?」
と、泣きブタ君。
その絵には、確かにイルカと、3本脚の鳥の姿が模様として描かれていた。
「わたしたちは、昔からいるかとは友達です。海に漁に出かけると、必ずいるかが現れて、網の中に魚を追い立てて、漁の手伝いをしてくれます。また、ヤタガラスという鳥は我々の大切な守り神です。島民の家々には、必ずヤタガラスの置物や絵が飾ってあります。」
と、アドルフさんは説明してくれた。
別のところで、サキちゃんが蛇の絵をみつけた。
「きゃあ、気味が悪い、頭が八つもある蛇が彫ってあるわ。」
「どれどれ。本当だ、これは、ヤマタノオロチに似ているな。アドルフさん、この島には、この頭が八つある蛇の伝説みたいなものがあるのですか。」
と、学者君。
「ありますよ。ホツマツアが王様になれたのと大いに関係があります。でも島の人以外に漏らしてはいけないことになっているので、今はあなた達にはお話しするわけにはいきません。いずれお話する機会がきたら、そのときはお話できると思います。長老からは、余計なことは言わないようにと釘を刺されてますので、気を悪くなさらないで下さい。」
と、アドルフ。
「そんなこと言われると、かえって興味がわいてくるな。」
と、学者君。
「ヤタガラスにヤマタノオロチかあ。日本の神話に出てくる想像上の生き物が、この島にはある。この島と日本の神話の関係はどうなっているのか。全く奇妙な島だなあ。」


忍者通信4号へ続く



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2006年09月07日

第3章 怪奇島 忍者通信4号

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忍者通信4号

ちょうど太陽が真上に昇り、お昼時間を示していたので『サスケ』達は探索を中止して、大人達のいるところへ戻ることにした。
海岸に戻ると、いつもの純白の伝書鳩が忍者通信を運んできた。
ninnjyatuusin4-1.bmp

ninnjyatuusin4-2.bmp

『サスケ』が忍者通信4号を読み終わるか終わらないうちに、一羽の大きなコウノトリが飛んできて、頭上で数回大きく旋回していたがやがて大きめの包みを、『サスケ』の目の前に落としていった。包みには、プレゼントの品煙玉在中と大きく書いてあった。
九字法は役に立ちそうなので、いつでも使えるようトレーニングしておく必要がありそうだ。三日以内に会得するぞ。忍術修行の日課がまた増えたが気にならなかった。いや、今まで以上に気合いが入ってきた。
暗号の解読は、数多くやっているとこつがつかめてくる。このところ『サスケ』はノッポ君とのメールはもっぱら暗号を使うようにしている。
石川弐右衛門半商店はどこにあるんだろう。『サスケ』たちがこの巨石像のある島に流れ着いたのをどうして知っているのだろう。
『サスケ』は少し疑問に思ったけれど、すぐに忘れた。それよりも、十色煙玉のプレゼントが超うれしかった。これで『サスケ』の未熟な忍術も何とか格好がつくというもんだ。

食事を済ませてくつろいでいると、「皆さん、おやつの時間ですよ。今日はトマトのアイスクリームですよ。船の中で収穫したハイポニカトマトはフルーツみたいに甘くて美味しいわよ。」といいながら、マリアさんはお盆にいっぱいのアイスクリームをのせてやってきた。
「アドルフさんもお召し上がりになって。お口に合うかしら。」
「わたくしも頂けるのですか。」
「どうぞ召し上がれ。」
「とても美味しいです。」
「そうでしょう。ちょっと酸味が利いていてさわやかな甘味があるでしょう。」
マリアさんのアイスはいつ食べても美味しかった。
「今度は、のびーるアイスを御馳走するわね。楽しみに待ってらっしゃい。」
島の探検で汗をかき、のども渇いていたので、マリアさんのアイスは本当に美味しかった。


怪鳥ジャイアントモアへ続く



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2006年09月08日

第3章 怪奇島 怪鳥ジャイアントモア

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怪鳥ジャイアントモア

翌日、子供達は、高校生の竜馬君を中心に島の探検に出掛けた。
アドルフさんは都合が悪く一緒には行くことが出来なかった。後で分かったことだけど、アドルフさんは大変な悩みを抱えていた。それで、来られなかったようだ。
そして『サスケ』達も大変なことに遭遇することになる。
『サスケ』達一行は、アナケナから海岸沿いに北西の方角に向かって歩き出した。
このあたりは、島民も立ち入ることはあまりないようで、道らしい道はなかった。獣道のような細い踏みあとが心細く続いているだけだった。
一行が歩き出して暫くすると、うっそうと茂った葦原が現れた。大人の背丈よりも高い葦原が延々と続き、視界をさえぎっている。ノッポ君が先頭に立って歩いているが、葦原はその頭のはるか上まで伸びていた。小学生の子供たちには、急に何かが出てきたらと思うと心細かったが、大学生、高校生のお兄さんたちを信じて、必死について行った。
トンボ君は、器用に葦の葉っぱを丸めて葦笛を作り始めた。葉っぱを何枚も巻いていきラッパのような形を作り、最後に口にくわえる部分を指先で潰して吹いてみる。2,3度潰し加減を調整すると、本物のラッパのような音が鳴り出した。
子ども達はトンボ君に作り方を教わり、自分のラッパを作ってみたけどトンボ君のようにはなかなかいい音が出ない。ちょっとしたコツがあるようだ。
それでも、全員が自分のラッパを作り終え、一大合奏になった。ラッパの音がにぎやかに鳴り響き、さっきまで抱いていた恐怖心がどこかへ消え去っていった。
子ども達は、にぎやかに音を出しながら30分ほど葦原を進むと、目の前の視界が突然開けてきた。葦原が切れたところから青々とした草原が広がり、遙か彼方の森林まで続いていた。
草原に目を凝らすと、はるか先に首の長い動くものがいるようだ。
『サスケ』はとっさに『ダチョウかな。』と、思った。『サスケ』の脳裏にはあんな大きな鳥はダチョウしか思い浮かばなかったからである。でも自信がなかった。遠すぎてよく分からなかったし、形も違うようにも見えたから。
『サスケ』達は確かめるために、そっと近づいていった。
『サスケ』達が近づいても、その動物は逃げるそぶりもみせない。形が見分けられる距離まで近づいていくと、明らかにダチョウとは違う生き物だった。学者君は信じられないというような顔をし、何度も自分のまぶたを手のひらでぬぐった。
「これは驚きだ。あれはまさしく、ジャイアントモアに違いない。絶滅動物図鑑で見たのとそっくりだよ。」と学者君。
「ジャイアントモアって何。」とネネちゃん。
「ジャイアントモアは地上最大の鳥で体高は3.6メートル、体重は250キログラムもあったと言う。ニュージーランドに生息していたけど、マリオ族が盛んにジャイアントモア狩りを行い、とうとう西暦1770年にこの地上から姿を消してしまったんだ。」
「そんなに大きいのに、何で絶滅したのかしら。」
「どうもマリオ族は食べるためではなく、狩そのものを楽しむためにジャイアントモア狩をしたようだ。とうとう最後の1羽まで殺してしまい、絶滅させてしまった。日本でも、朱鷺(とき)やニホンオオカミは絶滅してしまった。ニホンカワウソも絶滅してしまったようだ。1匹や2匹生き延びても、種を存続させることは出来ない。ある程度まとまった数が必要なんだ。生き物の世界は弱肉強食で弱いものが強いものに食べられる食物連鎖で成り立っているけれど、、相手を絶滅させるまで殺すことは絶対しない。絶滅させてしまったら、自分たちが困ることを本能的に知っているんだ。地球上には今までいろんな生命が生まれては消えていったけれど、生き物同士が殺し合いで相手を絶滅させたことはない。今から6500万年前、隕石の衝突で地球環境が大きく変わり、その環境の変化に適応できなかった恐竜が絶滅するようなことはあっても、殺し合いで絶滅することはないんだ。人類が地球に現れてから、沢山の動物や植物がこの地球から姿を消した。昆虫や微生物までいれると、1分間に1種の割合で生命が絶滅している。一度失われた種は二度と復元できない。いずれ、細胞からDNAを取り出したり、冷凍マンモスの精子から受精卵を作り出すことができるようになるかもしれないが、少なくとも今の科学水準では不可能なんだ。それなのになんで、そのジャイアントモアがこの島にいるんだよ。ジャイアントモアは絶滅したはずじゃなかったのか。そんな馬鹿なことが。この島は奇妙な島だなあ。」


タスマニアフクロオオカミへ続く

jyaiantomoa-02.jpgジャイアントモア


2006年09月10日

第3章 怪奇島 タスマニアフクロオオカミ

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タスマニアフクロオオカミ

「学者君、絶滅動物はジャイアントモアだけじゃないみたいだよ。あそこにいるのはタスマニアフクロオオカミじゃないか。」
とノッポ君が言った。
ノッポ君が指さした先にみんなが顔を向けると、確かに特徴のある縞模様のはっきり見える、タスマニアフクロオオカミがこちらの様子をうかがっていた。
タスマニアフクロオオカミは、満腹らしくこちらを襲ってくるような気配は見られなかったが、油断は禁物である。
ぼく達はタスマニアフクロオオカミから目を離さずに、徐々に後ずさりして、離れていった。
タスマニアフクロオオカミは、自分のテリトリーから侵入者が出て行ったのを見届けると、茂みの中に姿を消していった。
「前から不思議に思っていたのだけれど、ここは、僕たちの住んでいる世界とは違う世界じゃないか。海江田船長も、海図に載ってないので皆目見当がつかないと言っていたし。」
と、学者君。
「学者君もそう思うかい。実は、僕も変だなと思っていたところなんだ。絶滅したはずのジャイアントモアやタスマニアフクロオオカミがこの島には生息しているんだ。全く驚きだぜ。この先何が現れるかと思うと本当にゾクゾクしてくるぜ。」
と、ノッポ君は目を輝かせて言った。
 「マンモスとか、サーベルタイガー、スーパーザウルスなんか現れたら感激しちゃうな。」と竜馬君。
『サスケ』達は、これか先、どんな動物が潜んでいるかしれないので慎重に進むことにした。
小学生や女の子を列の真ん中に入れ、前後を大学生・高校生のお兄ちゃんたちが挟む格好で進んでいった。
タスマニアフクロオオカミがいたところを避けながら大きく迂回して、進路を南に変えて進むことにした。
灌木や、ごつごつした大きな岩のある草原をしばらく行くと、小高い丘が見えてきた。緩やかな上りの斜面いっぱいに淡いピンクと白い花が咲き誇っているのが見えた。まるで絨毯を敷き詰めたような美しさで、女の子達は一斉に歓声を上げた。
花の蜜を求めて、色とりどりの蝶々や、蜂が飛び交っていた。それはまるで地上の楽園のようであった。
太陽は真上にさしかかっており、ちょうど昼時になっていた。ここでしばらく休憩をすることにして、皆はマリア様が作ってくれた弁当を広げた。
「やっぱりマリア様の弁当は美味しいや。」と『泣きブタ』君。
「本当に美味しいね。」と『ネネ』ちゃん。
食事が終わると女の子たちは、周りの花を摘み始め、かわいらしい首飾りや、王冠を作って遊んでいた。
サキちゃんとネネちゃんは摘んできた花束で、花占いを始めた。もちろん、恋占いである。女の子にとって、占いは生活の一部になっていて、何にもまして重要なことなのである。
一時間ほど自由な時間を過ごして、『サスケ』達は再び進み始めた。
丘の上からあたりを見渡すと、南の方は深いジャングルになっており、足を踏み入れるのには勇気がいる。ましてや、小学生や、女子の混じった探検隊では無理は出来ない。
西の方は、草原が続いており、所々に灌木が茂っていた。草原は海岸まで続いているように見えた。
一行は迷わず、西に進むことにした。歌を歌い、葦のラッパを吹き鳴らし、突き進んでいった。
海岸に着くとそこは断崖絶壁になっており、海に降りられるようなところはどこにもなかった。
そして、そこにも巨石像がいくつも並んで立っていた。すべてが同じ方向を向いていた。
何のために、この巨石像が造られたのだろう。そして、どうして、同じ方角を向いているのだろう。『サスケ』は不思議に思った。いや、不思議に思ったのは、『サスケ』だけではなかった。ノッポ君も、学者君も、メガネ君も、マンガ君も誰もが不思議に思った。
いつか村の人に、この巨石像について話を聞いてみよう。と、思った。


太陽の高さも次第に傾いてきて、丁度45度ぐらいになっていた。あまり遅くなると、大人たちが心配するといけないので、今日の探検は、ここまでにして、『サスケ』達は帰路につくことにした。
『サスケ』達は今きた道を逆に辿って、歩き始めた。草原を通り抜け、花の咲き誇っていた斜面までは何事もなく順調だった。
ここから先の草原は注意して進まなければならない。午前中、タスマニアフクロオオカミに出会ったところはもうすぐである。でも、彼らが見かけたのは、たった1頭のタスマニアフクロオオカミだったので、ほとんど警戒などしていなかった。
日の落ちる速度は思ったより早く、辺り一面夕焼けで真っ赤に照り映えていた。急がないと、日没までに海岸にはたどり着けなくなる。
このとき、彼らは気づいていなかったが、12個の鋭い眼光が一行を中心に動いており、その距離は次第に狭まっていった。
オオカミは、集団で狩りをする習性があり、機会をうかがっていたらしい。リーダーらしいオオカミの鳴き声が響きわたり、彼らの前方の草がざわめいた。
「しまった。大変なことになった。」と、『サスケ』は覚悟した。しかしオオカミは、すぐには襲いかかってこなかった。こちらの動きを伺っている。女の子たちは恐怖にうちふるえて今にも泣き出しそうだった。
高校生の竜馬君や学者君達は、地面に落ちている木立や、石ころを拾い、戦う準備をした。
オオカミは、いよいよ体勢を低くし、地面近くまで顔を近づけ飛びかかる寸前だった。
彼らも身構えた。正直もう駄目だと思った。
落ち着かなければ、『サスケ』はとっさに「リン、ビョウ、トウ、シャ、カイ、ジン、レツ、ザイ、ゼン」と早口で唱え、九字の印を切った。
続けて、ポケットから赤煙玉を取り出し、オオカミのいる地面に向かって投げつけた。
一瞬真っ赤な炎とともに赤煙が舞い上がり、オオカミたちは立ちすくんだ。動物は火に弱いと言うことを思い出し、赤煙玉を選択したのだ。
赤煙玉が炸裂したそのとき、すさまじい地響きとともに、7羽のジャイアントモアが一行とオオカミの間に飛び込んできて、翼を広げオオカミを威嚇した。オオカミが一瞬ひるんだ隙に、彼らに背中に乗るように合図をした。
『サスケ』達が、ジャイアントモアの背中にまたがると、ジャイアントモアは砂塵を上げて一斉に走り出した。ジャイアントモアは草原を一気に走り抜け、砂浜の続く海岸線までたどり着くと、走るのを止め、『サスケ』達をおろした。  
危機一髪のところで、一行は命拾いをした。
ジャイアントモアは、子供たちを背中からおろすと、今来た道を足早に引き返していった。

子供たちは、今日あった出来事を大人たちに報告した。でも、タスマニアフクロオオカミに襲われそうになったことは話さなかった。大人たちが心配して、明日からの探検を止められてしまうような気がしたからである。
今日子供たちは、ちょっと危険な目にあったけど、とても高揚した気分だった。だって、動物園に行っても見ることの出来ない、図鑑かコンピュータグラフィックでしかお目にかかれない絶滅動物に出会ったのだから当然といえば当然である。
この島は、何があるかわからない、未知の島だ。
夕食後『サスケ』達は、ノッポ君たちの部屋に集まって、作戦会議を開いた。もちろん、明日からの探検についてである。
相談の結果明日は、島の南東の地区を探検することになった。アドルフさんの話では、島の南の方には村人の集落があるので、ひらけているらしいが、今日のようなことがあるといけないので『サスケ』は煙玉と、マキビシ、手裏剣、などを持って行くことにした。
それと、野生動物には役に立つかわからないけれど、動物と会話のできる【バウリンガル・アニマル】も持って行くことにした。
さらに、ドクター大松さんが発明したエアーセグウェイという乗り物を使うことにした。これは、地上と空中を自由に動き回れる乗り物で、普段は地上を走り回るけど、道が無いところや、水の上はホバークラフトのように地面から浮き上がって進むことができる。体重の移動だけで右にも左にも自由に動くことができる。左右にタイヤがついていて初心者でも自転車と違って倒れることのない魔法の乗り物なのだ。
結構スピードも出て、最高時速80qで走ることが出来るので、子供たちは鶴亀造船所の中や『カメレオン号』の甲板でレースをして楽しんでいた。コーナリングでいかにスピードを落とさないで走ることができるかがポイントである。
空中移動はそれなりにエネルギーの消費が激しいので、出来るだけ車輪を使って地上を移動するほうが良い。
ちなみに、子供たちの間では『サスケ』がチャンピオンである。テクニックではチョロキュウ君の方が上だが、『サスケ』は度胸がある分勝っている。
チョロキュウ君は、エアーセグウェイの曲乗りが得意である。まっすぐ走っていったかと思うと、いきなりスピンターンをしたり、ジャンプをしたり、まるでオリンピックのウルトラCのような曲乗りが得意である。
2048年のオリンピックから正式種目に採用されるようになった。
大きく分けるとスピードのタイムを競うのと、技を見るのとがある。
冬のオリンピックの競技では、雪の降らない地域の参加者は不利だったが、エアーセグウェイは平等であるということで採用されることになったらしい。



深まる謎へ続く





fukuroookami-01.jpgタスマニアフクロオオカミ

第3章 怪奇島 深まる謎

深まる謎

「ちょっと気になることがあるんだけれど。」といって、竜馬君が話を切り出した。
「実は、絶滅動物に興味があって、『絶滅動物図鑑』というホームページを作って管理しているんだけれど、あの嵐のときも、パソコンでホームページの更新の真っ最中だったんだ。特に、ジャイアントモアとタスマニアフクロオオカミについては思い入れが強く、結構ボリュームがあったんだ。その絶滅動物たちが、ぼく達の目の前に出現したじゃないか。偶然にしては出来すぎていると思わないかい。ぼくにはどうもバーチャルの世界が現実の世界に置き換わったように思えてならないんだ。」
「竜馬君もそう思ってたのか。実はぼくも不思議に思っていることがあるんだ。ぼくは日本神話に興味を持っていて、その関連のサイトを時々のぞいているんだけど、ヤタガラスが現れてから余計興味が募り、頻繁にアクセスしていたんだ。だからぼくのパソコンもあの時日本神話のサイトを開いていたんだ。」とノッポ君。
「あの磁気嵐の中で、開いていた二つのサイトが何らかの形で融合し、ぼくたちをバーチャルの世界へテレポートしてしまった。ぼくにはそう思えるんだ。」と学者君。
「そんなこと実際に起こりえるのかなあ。」と『サスケ』君。
「現実にぼくたちは海図に無い島にいるじゃないか。地球上から姿を消したはずの絶滅動物とも遭遇した。あいつらは絶滅危惧種じゃないんだぜ。現実に絶滅してしまった動物を目の当たりにして、それがうそだといっても始まらない。この島では何が起こっても不思議じゃないと思っていたほうがいい。」と学者君。
「それが本当かどうかはおいとくとしても、この奇妙な世界を楽しもうじゃないか。ぼくはとてもワクワクしているんだ。」楽天家のキャプテンが笑みを浮かべて言った。彼の顔には、この世界をとことん楽しんでやるぞという気持ちが現れていた。

翌朝、ぼく達が探検の準備をしていると、アドルフ青年が現れた。ぼく達は、昨日タスマニアフクロオオカミに囲まれて危険な目にあったが、危機一髪のところでジャイアントモアに助けられたことを話した。
島では、ジャイアントモアを神の使いとして、大切に保護しているとアドルフさんは教えてくれた。
アドルフさんの話によると、昨日ぼく達が探検した地域の先には、『黄泉(よみ)返りの森』と呼ばれる原始林があり、森の中に一歩でも足を踏み入れると島の人間でも、戻ってくるのが困難な場所とのことだった。さらに、そのずっとずっと奥には、『浦見(うらみ)の滝』という滝があるという。
アドルフさんはぼく達が無事だったことをとても喜んでくれた。
『黄泉返りの森』は、突然新しい生き物が出現する不思議な森で、今までも沢山の動物が出現してきたという。ジャイアントモアが現れたのは今から300年ぐらい前のことで、あんな大きな鳥が突然現れたので、島中が大騒ぎになったらしい。今でも、その当時のことが語り継がれている。
当時の村の長老は、島に不吉な災いがもたらされるのではないかと危惧して、三日三晩、不眠不休で食事も取らず、水も飲まずにひたすら祈り続けたとのこと。その結果、ジャイアントモアは神の化身であり、島の守り神であるから大事にするようにとのご託宣があり、それ以来島ではジャイアントモアを大切に保護しているとのこと。ジャイアントモアの居る地域を保護地区に指定し、島の人たちは滅多に近づかないようにしている。
しかし、野生とは別に、島で特別に飼育しているジャイアントモアもいて、年に一度のお祭りの時には、ジャイアントモアのレースを島民あげて楽しんでいる。競馬のように、ジャイアントモアの背中に人が乗り、スピードを競うんだけれど、鞭は使っちゃいけない決まりになっていて、なかなか思うように走ってくれないので、思わぬ番狂わせが起こる。
タスマニアフクロオオカミが出現したのは、今から100年ほど前のことで、この島には、それまで大型の肉食獣が全く居なかったので、食物連鎖の生態系が壊れるのではないかと心配する人もいたが、今は、心配するほどのこともないらしい。今のところ、自然に任せており保護や、駆除する考えはないらしい。自然の生態系を破壊するのは、人間が持ち込んだ、ペットや家畜の影響が一番大きい。
「紅毛碧眼の侵略者が持ち込んだ、家畜やペットが島の生態系を大きく変化させた。島の南部地域は緑の豊かな草原地帯だったが、やつらの連れてきた山羊は、やつらが撤退した後もこの島に取り残され、野生化した。繁殖力が旺盛で、見る見るうちに数が増え、この島固有の動植物や昆虫が絶滅の危機に瀕しているのです。」とアドルフさんは語気を強めて話した。
オーストラリアからタスマニアフクロオオカミが姿を消したのが1960年と言われている。このときを境に、どこからも目撃情報は一件も報告されていない。
2005年2月オーストラリア博物館が剥製から取り出したDNAからタスマニアフクロオオカミのクローンを作ろうとしたが失敗したと発表している。詳しいことはわからないがDNAの劣化が原因らしい。
だからここにいるのは、断じてクローンのタスマニアフクロオオカミなんかではないんだ。
オーストラリアから姿を消したのと前後して、この島にタスマニアフクロオオカミが出現したことになる。
何とも不思議な島である。この島は。

絶滅動物のクローンはマンモス象でも密かに作られようとしているらしい。
マンモスのDNAは永久凍土によって冷凍保存されていて、保存状態はとても良いようだ。2005年愛知県で開催された“愛地球博”という万国博覧会ではマンモス館が大人気だったって。
何万年も前に絶滅したにもかかわらず、肉や皮、毛まで冷凍保存されていて、まるで生きているようだって。
このマンモスの細胞からDNAを取り出し、アフリカ象の核を抜き取った卵子に組み込んで、マンモスを作り出そうと言うんだ。DNAが劣化していなければ理論的には出来るそうだ。生きているマンモスを見てみたいという気持ちはあるけれどはたして、人間がそこまでやってもいいのという議論は尽きない。
いつまでも生きていたいという強い願望を持ったお金持ちは、クローン技術の進歩や、不老不死の薬が開発されるまで、自分が死んでも火葬にしないで冷凍保存するように遺言を残している。そしてそれを請け負う会社もアメリカにはあるらしい。
不確かな情報だけど、今生まれてくる子供は血液を採取され、極秘にDNAを登録されるらしい。
一部のお金持ちや、要人は自分が難病にかかったときに、臓器移植や輸血をしてくれる人を健康な段階から確保するのだという。果たして本当なのだろうか。

posted by 冬野☆男 at 15:02| Comment(0) | TrackBack(2) | 第3章 怪奇島 深まる謎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月11日

第3章 怪奇島 光のへそと天の岩戸伝説(1)

光のへそと天の岩戸伝説

アドルフさんは、巨石像の多い南東の地区を案内してくれると申し出てくれた。
『サスケ』たちは、アドルフさんの進言に従うことにして、アドルフさんにも、エアーセグウェイを用意した。
自動車は、完全自動制御が義務付けられて、交通事故は皆無になっていた。ボタンひとつで目的地まで安全に輸送してくれる仕組みが普及し、2031年を境にして、交通事故は死語になってしまった。
どうしても運転のスリルを味わいたい輩は、決められたサーキットでマニュアル車や二輪車を運転することは許されていた。
運転免許証も必要なくなったが、希望者は身分証明書代わりに持つことは出来た。
エアーセグウェイは二輪車や自転車に代わる乗り物として普及していたし、オリンピックの正式種目にも採用されていたが、もちろんこの島には無かった。
アドルフさんは、最初こそおっかなびっくり操作していたが、こつをつかむのが早く、瞬く間に自在に乗りこなすことが出来た。『サスケ』はそのうち、アドルフさんと競争をしてみたいと思った。
南東に向かって平坦な道をしばらく進むと、大きな石碑が現れた。石碑には、こう刻まれていた。

『島民心得』
生かされている身の 有り難さを知ること
二度無き人生を 精一杯生きること
他人の痛みのわかる 心優しい人であること
言葉づかい、姿勢を正しくすること
ふるさとを誇りとし 隣人を愛すること
思い定めたことは 必ずやり通すこと
他人のために 汗を流すこと
他国の平和を 乱さぬこと

この島の人たちは、心の優しい人たちなんだろうなと、『サスケ』は思った。そして、世界中の人たちが、こんな気持ちになったら地球上から人間同士のいさかいが無くなるんだろうなと、思った。
2qほど南東に進むと、巨石像が現れたが、ここの巨石像はほとんどがうつぶせに倒れたままになっている。
「ここには、【光のへそ】と呼ばれている、丸くて不思議な石があります。」と、アドルフさんは話しかけてきた。
倒れている巨石像の直ぐ近くに、【光のへそ】はあった。周りは、ごつごつした岩や石ころだらけなのに、それはジャイアントモアの卵位の大きさがあり、丸くてつやつやした不思議な石だった。石の成分もこの辺にあるありふれた石とは明らかに違っていた。
この【光のへそ】は、どこかで作られて、ここに持ってこられた。何かの目的があって。『サスケ』は、何の根拠もないのに直感でそう思った。
よく見ると、模様のような、文字のような物が表面に彫ってあるのが見える。
「これは、ロンゴ・ロンゴという文字といわれていますが、この島にはこの文字を読める者は残念ながら一人もおりません。」と、アドルフさんが言った。
「ただ、【光のへそ】に関する言い伝えはあります。」と、アドルフは続けた。
「言い伝えって、どんな内容ですか。もしも、よろしかったら話していただけないでしょうか。」ノッポ君が尋ねた。
「昔々、新月の夜に、東の空が急に明るくなり、大きな火球が飛んできた。火球はアナケナの北東の海洋に着水した。夜が明けて、着水したあたりを調べて見ると、人工的に加工されたと思われる、球状の石が見つかったのです。その石が【光のへそ】いわれるものなのです。【光のへそ】が天の岩戸を開く。と言い伝えられていますが、天の岩戸がどこにあるのか、今では島の長老たちでさえ知らないのです。さらに、天の岩戸が開いたとき天変地異が起こる。そのときのために、ノアの箱舟を用意しておかなければならない。わたしたちは、百年に一度新しい船を造り、天変地異に備えております。」と、アドルフさんは言った。
「これは驚いた。今度は天の岩戸のお出ましだ。」と、ノッポ君。
「日本神話では、日の神アマテラスオオミカミがスサノウノミコトの暴挙に立腹し、岩屋戸に隠れてしまった。世界は闇に閉ざされたので、ヤオヨロズの神々が困ってしまった。一計を案じて、岩屋戸の前で踊りを踊ったり、大騒ぎをしてアマテラスオオミカミの気を引いた。作戦が成功して、アマテラスオオミカミが岩戸を少しあけて覗いたときに、岩戸をこじ開けて闇の世界から脱出することができた。
そんな粗筋だが、皆既日食のことを表しているという説と、一年の内で一番昼の時間が短い冬至のことを言っているという説がある。
農耕民族である日本人の祖先は季節の変化を敏感に感じていた。たぶん冬至の日が、一年の区切りの日になっていたのだろう。一年の区切りの日に、踊りを踊り、お供えをして、新たな一年の無事をお祈りする。きわめて自然な成り行きだ。
日食の起きる原理を知らない人たちにとって、いきなり太陽が隠れてしまい、昼が闇の世界になってしまうのだから不安になるのは当たり前の話である。早く太陽がお出ましするようお祈りするのも当然だろう。」と、ノッポ君は得意げに説明した。
「ところで、この島の伝説光のへそと天の岩戸の話は興味をそそるな。天の岩戸が特定の場所を指すのか、あるいは、日本神話のように何かの現象を指しているのか。」と、博士君。
「アドルフさん、親切にしていただいたお礼に、ぼく達に謎解きの手伝いをさせてください。謎解きが出来るか、ちょっと自信がないけど。」
「それはありがとう。今まで、誰も解くことが出来ない難問で、天の岩戸なんて存在しないんじゃないかと思うようになってきて、今では、本気で探そうという者はこの島には誰もいなくなってしまった。」
『サスケ』達は、アドルフさんから、天の岩戸伝説を詳しく聞いたが、問題を解く鍵は見つからなかった。
島の大人が、何百年も探して見つからない謎が、よそ者の『サスケ』達がちょっと話を聞いただけで、手がかりが見つかるほど甘くはない。

光のへそと天の岩戸伝説(2)へ続く



2006年09月12日

第3章 怪奇島 光のへそと天の岩戸伝説(2)

復習する

島に上陸してから、5日目の朝を迎えた。いつものようにアドルフさんが笑顔でやってきた。
「おはよう。今日はとてもいい話を持ってきたよ。長老様が君たちのことをとても気に入って、今夜歓迎の夕食会を開くので、ぜひ出席して欲しいと言っておりました。」
最初にあったときは、一日も早く立ち去って欲しいというような雰囲気だったのが、なんという変わりようだろう。
その晩、船長を始め『カメレオン号』の皆は長老の招きで、夕食会に出かけた。
宴会は、村人が総出で出席し、できる限りのご馳走が振舞われた。
バナナの料理や魚料理は味付けが淡白だったが、美味しかった。ココナツミルクで芋と野菜と豚肉を煮たスープはとても美味しかった。
皆が食傷気味だったのは、イグアナの丸焼きとこうもりの姿煮だった。そんな中で、平気でぱくついていたのは、大学で探検部に所属している『サカナ』さんだった。
「これ美味いぞ。お前らも食え。」
「この味は鶏の味に近い。美味、美味。」と一人悦に入っていた。

宴もたけなわになったころ、クプクプ長老は島に伝わる、もう一つの伝説を話し始めた。
「昔々、はるか昔、この島には相対立する二つの力の強い部族がおった。北に住む部族がカリマ族、南に住む部族がハンナン族と言った。互いに相手の部族を征服してやろうと野心満々だったから、常に戦が絶えなかった。次第に、戦いはエスカレートし、このままでは双方の部族が滅亡してしまう、そんな危機的状況を呈してきた。
今日こそは雌雄を決しようと、互いに鬼のような形相で戦いの場に臨んでいた。こんな無意味な戦争に心を痛めていた、カリマ族の弓の名手、ナスノヨイチは、渾身の力を込めて弓を引いた。解き放たれた矢は、空に向かってぐんぐん上昇し、とうとう太陽に命中した。
ナスノヨイチの矢で射抜かれた太陽は、にわかに光を失い、次第に闇が迫ってきた。今まで暖かかった空気がひんやりと冷たくなり、とうとう雪まで降り出した。この島で雪が降ったのは、このときが最初で最後と言われている。とうとう島は漆黒の闇に包まれた。部族間のルールで、戦争は日の出から日没までと決められていたので、戦いは休戦となった。
互いの部族の長は、自分たちがいつまでも戦争を止めないでいることに、太陽の神(天照大神)がお怒りになって、お隠れになったと思った。互いの部族の長は膝を折って話し合い、今後はいかなる事があっても戦争はしないと誓い合った。戦争の代わりに、双方が大きな石像を建て、相手の石像を倒した方が勝者とするゲームが行われるようになった。勝者には、1年間、島で最高の漁場を独占する権利が与えられた。相手に倒されにくくする為に、出来るだけ重たくて大きい石像を作るようになってきて、御覧のような巨大な石像が島のいたるところに存在するようになった。島のあちこちに巨石像が倒れているのはそのためなのだ。
太陽の神に対する感謝の気持ちと信仰心を失わない為に、光のへそを奉るようになった。島民憲章は、戦争の無意味さを忘れない為に起草され、島民の集まりでは、唱和するようになっている。この島では、言葉の話せるものは幼児でも島民憲章を空で言えるよ。これがこの島の憲法だよ。」
「まだ製作途中の石像があるようだけど、あれはどうしたのですか。」と学者君。
「石像は、はじめは等身大の大きさだったのが、自分たち部族の力を誇示するうちに、次第にエスカレートしていき、ドンドン大きくなってきた。1年では造れなくなってきて、完成までにとうとう10年も掛かるようになってしまった。したがって、何年も先の石像も同時に製作していったのじゃよ。」
「あるとき、誰も今までみたこともない巨大な鉄の黒船がやってきて、この島に上陸した。彼らは雲をつくような大男で、鼻は天狗の鼻のように高く、途中から鷲のくちばしのように折れ曲がっていた。目の色は青く、髪の毛は燃える火のように真っ赤だった。それは、まるで鬼のようだった。」クプクプ長老は、ここまで一気に話すと、一呼吸いれ、悲しげな目になった。
「彼らは、先に穴のあいた、長い鉄の棒を持っており、その鉄の棒の先から火の玉が飛び出し、生き物を一撃で倒した。彼らは、われわれよりはるかに高度な文明をもっていたが、文化は最低だった。
自分たち以外の人間は、人間でないと信じ込んでおり、自分たちの宗教が最高だと思っているものだから、力に物を言わせて、われわれを制圧した。
そして、自分たちの信じる宗教をわれわれに押し付けた。われわれがよそ者を快く思わないのは、そんな歴史的過去があるからなのじゃ。
別にあなたたちを嫌いなわけではない。」クプクプ長老は、吐息を漏らした。
「石像の目は、製作当初は金や銀、宝石などがちりばめられていたが、彼らによってすべてえぐりとられてしまった。島にある石像に目が無いのはそのためなのだ。」
「長老様、アドルフさんから聞いた話では光のへそが天の岩戸を開くという言い伝えがあるそうですが。」と、ノッポ君が尋ねた。
「アドルフが君たちに話した天の岩戸伝説は、カリマ族に伝わる伝説で、あの紅毛碧眼のよそ者が暴れ回っているときに、部族の大切な宝物を天の岩戸に隠したといわれている。その天の岩戸がどこにあり、当時隠された宝物もどんなものなのか、誰も知らない。光のへそにそれを解くカギがあるといわれているが、いまだに解けない謎なのだよ。」と、クプクプ長老は言った。
「なんだか夢があるな。ぼくわくわくしてきちゃったよ。」と『サスケ』は言った。

「おやびん。面白いことになってきましたよ。天の岩戸伝説ですよ。金銀財宝がザクザク眠っているでがすよ。」
「運が向いてくるかもしれないな。しばらくは目を離さないようにしないとな。」
「しかし、サスケ君は忍術の腕を格段に上げたな。先日タスマニアフクロオオカミに襲われたときも、冷静沈着で、九字の印を切ったし、煙玉の選択も正しかった。毎日筋トレも欠かさないようだし、短期間にこれほど上達するとは思っても見なかった。たいしたものだ。この分では免許皆伝を与えるのも、そう遠くはなさそうだな。」
「免許皆伝はちょっと早いんじゃないの。落語の世界でも、前座から始まって、二つ目、真打ちと段階を経るんでガスよ。だいたい真打ちになるまで10年は掛かりますよ。それをいきなり免許皆伝なんて、おやびんはいくら気前が良いからと言って、良すぎますよ。あたしゃ知りませんからね。」
「何をすねてるんだい。おかしな奴だね。まったく。落語の世界だって、真打ちになってからが大変なんだよ。真打ちになったことで、やっと自分も一人前に認めてもらったと感激して、なおさら精進するってもんじゃないか。わしだって、人を見る目はあるよ。サスケ君が免許皆伝をもらって、有頂天になって伸びなくなる奴か、より一層精進に励む人間か、見分けられるよ。」
「分かりましたよ。なにせ、あたしが免許皆伝を頂いたのは確か39歳の時で、それまで21年掛かりましたから。サスケ君の上達がうらやましかったんですよ。」
この二人組が、島の中で何をしているのかはいまだに皆目わからない。どこに潜んでいるかも謎のままである。ただ、『カメレオン号』の仲間たちのそばにいることだけは間違いないようだ。
第3章 怪奇島 (完)

第4章 黄泉(よみ)返りの森 忍者通信5号(1)へ続く

2006年09月13日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 忍者通信5号(1)

復習する

 忍者通信5号

『サスケ』たちは、アドルフさんの協力を得ながら、およそ1ヶ月かけて島中の巨石像を調べ尽くしたけれど、天の岩戸伝説につながる情報は全く掴めなかった。
子どもたちは、今までのことを総括するためと今後のことを打ち合わせするために、会議を開いた。
会議と言っても、そんな堅苦しいものじゃなくて、いわゆるミーティングである。
「アドルフさん、ぼくたち島中の巨石像を調べてみたけど、天の岩戸伝説に結びつくような情報は何も得られなかったね。」とノッポ君。
「そうだね。なにしろぼくのおじいさんの、そのまたおじいさんの、そのまたおじいさんの、何代も何代も前の古い話だからね。」
アドルフさんは申し訳なさそうに答えた。
「それで、僕からの提案なんだけれど、かなり危険だけれど、黄泉返りの森に行ってみようと思うんだ。もう、この島で調べていないのは黄泉返りの森ぐらいしかないからね。」とアドルフさんは切り出した。
「以前に、あの森は危険だから近づかないようにといわれましたよね。」
「そうなんだ。危険だから近づくなということは、本当に危険なのか、近づいてもらっては困ることがあるのかのどちらかだと思うんです。黄泉返りの森にいけば何かがわかるような気がするんです。」
「昔々、ぼくたちの先祖があの黄泉返りの森に何かを隠した。あるいは、何かを発見した。それを知られるのを隠すために、近づかないようにと触れ回ったに違いない。きっと、あの森には何か秘密がある。ぼくはそう睨んでるんです。」
アドルフさんは確信ありげな口調で言い切った。
「それはそうかもしれないが、あの森にみんなで行くのは、ちょっと危険すぎる。下調べに先発隊を送り込もう。第一陣は5名くらいに絞りたいと思う。参加したいものは挙手をしてくれ。」キャプテンが言った。
キャプテン、ノッポ君、学者君、チョロキュウ君、サキちゃん、マンガ君、トンボ君、サスケの8名が手を挙げた。女の子で名乗りを上げたのは、サキちゃんただ一人だった。
「サキちゃん大丈夫、怖くないの。」
「あら、あたし平気よ。だって、面白そうじゃん。」サキちゃんは即座に答えた。
「ぼくは止めとくよ。」泣きブタ君は、今にも泣き出しそうに小さい声で言った。
「希望者が多すぎるので、ここは公平にあみだくじで決めよう。」キャプテンはそう言うと、一枚の紙と鉛筆を取り出し、縦に8本の線を引き、その下に当たりの印の二重丸を5つ書いた。その線の間に階段状の横線を何本か書き入れた。当たりの印が見えないように用紙を半分ほど折り、好きな線を選んでその線の上に、自分の名前を書くように言った。さらに、何本かの横線を書き加えるように促した。
キャプテンといえども、はずれたら参加することは出来ない。みんな真剣だ。
サスケは、何とか当たるようにと心で念じた。そして、必ずメンバーに選ばれるように「十字法」の勝という字を手のひらに書いてから、自分の名前を書いた。
「十字法」のおかげかサスケは運良く、メンバーにはいることが出来た。サスケはこのとき忍術を習っていて本当に良かったと思った。
「天は、ぼくに味方した。」
「やった。」
「うれしい。」
「おれは、くじ運が強いんだ。」
キャプテン、ノッポ君、サキちゃん、トンボ君がそれぞれ当たりを引き当てた。
「あーあ。しくじったか。」
「ほんとついてないよな。もう一本線を引いとくんだったな。」
チョロキュウ君とマンガ君はとても悔しがっていた。サスケもはずれていたら、どんなにか悔しかっただろう。そう思うと、はずれた仲間には申し訳ないけど心底うれしくなってきた。
留守部隊には、次の探検には必ず連れて行くことで了承してもらった。
サスケは、メガネ君に、必ず暗号携帯メールで連絡をすると約束をした。
メガネ君も楽しみにしていると喜んでくれた。
サスケたちは毎日暗号のやりとりをしているうちに、暗号を解くのが早くなっていた。字面を見ると何となく何式で解くのかが分かってきたようだ。
サスケは、ドクター大松さんに、携帯電話で普通に文字を打って、送信するときに変換キーを押せば暗号文に変わるソフトを作れば、絵文字みたいに大ヒットすると思うと提案した。
ドクター大松さんも大いに乗り気だったから、そのうち商品化されるに違いない。世界中に流行ったりしてね。
そうしたら、ぼくたちは大金持ちになれるねと冗談交じりにサスケとドクター大松は話していた。
暗号なら、他人に読まれてもすぐには分からないからいいよね。良く電車の中なんかで、他人の携帯メールのぞき込んでる奴っているからね。
でも、悪人が犯罪の打ち合わせに使用すると大変なことになる。


忍者通信5号(2)へ続く

2006年09月15日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 忍者通信5号(2)

復習する


サスケたちは、いよいよ黄泉返りの森を探検することになった。
黄泉返りの森は、はるか昔役に立つ薬草や、キノコ類、木の実が採れることから島民に大事に管理されてきたが、度重なる部族同志の争いで、手入れされることが無くなり、あれさびて、いつしか絶滅動物が現れる不思議な森と化してしまった。
それ以来顧みられることがなく、誰も足を踏み入れたことがない、という。
名前こそ森と呼ばれているが、森と呼べるのは、裾野のほうだけで、実際は大きな山だ。その広さは島全体の三分の一位あり、山の中腹からは背の低い灌木地帯になり、さらにその上は岩肌がむき出しの険しい山岳地帯となり、山頂付近はいつも濃い霧に覆われていて、その全貌を現したことが無い。
どんなに危険な動物が現れてくるかもしれない。ジェラシックパークやモロー博士の島の絶滅した肉食恐竜のティラノザウルスやほ乳類のサーベルタイガーのような恐ろしい生き物はいないのだろうか。
空想世界に出てくる、オークやミノタウルス、ケンタウルスのような生物が出てこないとも限らないだろう。
なにしろ、この島には既に絶滅してしまったジャイアントモアやタスマニアフクロオオカミが生息しているのだから。そして現実には神話の中に登場するヤタガラスもいる。島にはヤマタノオロチ伝説もあって、島民たちは誰もがヤマタノオロチはいると断言している。
今まで、ヤマタノオロチに遭遇してそのことを口にしたものは、全て災いに見舞われており、そのことを口にすることはタブーになっていた。
とにかく、何があってもおかしくない、それがこの島なのだ。
ぼくは期待と不安で胸の鼓動が高鳴った。

「おやびん。子供たちはどうやら『黄泉返りの森』の探検に向かうようでおます。わてらも出かける準備を整えておきまひょう。」
「おまえ、確か生まれは青森だったよな。どうして関西弁なんかで話すのだ。」
「いえね、ガキの頃親父の仕事の関係で岸和田と言うところに3年ほど暮らしたことがおましてね。そのとき覚えましてん。」
「それにしても、おまえの関西弁は様になっていないな。普通にしゃべった方が良いよ。聞きにくくて仕方がない。
それは置いとくとして、まあ慌てることもないだろう。彼らだって、今回は簡単な装備では出かけられないだろうから、準備に時間が掛かるだろう。今の内に、忍者通信を出しておきなさい。今回のテーマは、探検に臨んでの心構えだ。よいな。」
「へーい。ガッテンしょうちのすけ。」

サスケ達が、黄泉返りの森の探検のための準備をしていると、いつもの伝書鳩が忍者通信5号を運んできてくれた。
「ねえ、何が書いてあるの。早く読んでよ。」
サキちゃんがせかした。
サスケは、準備に忙しかったけれど、ちょっと仕事の手を休めて忍者通信を開いた。

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それにしても何故、サスケ達が黄泉返りの森を探検することを知っているのだろう。サスケには不思議でならなかった。
いずれにしても、忍者通信が言ってることは至極ごもっとものことなので、無視することは出来ない。
「ふうーん。つまんないな。もっと新しい忍術のわざとかが書いてあると思ったのに。期待して損した。」
「あっ、これは凄い。凄いよ、サキちゃん。」サスケは、おまけのプレゼントを手にして叫んだ。
プレゼントの説明書には、『このペンで書いても何も見えません。しかし、あぶり出しライトの光を当てると、書いた文字や絵が現れます。』と書いてあった。
「サキちゃん、このペンで地図の上に秘密の場所を書いておけば安心だよね。それに、秘密の文章もこれがあれば読まれる心配もないよ。」
「本当ね。良いものもらったわね。石川弐右衛門半商店て気前が良いのね。」
「そうなんだ。前にも煙玉のプレゼントを頂いたし、七方出を買ったときは、服部半蔵の直筆サインをもらったし、代金は出世払いで良いと言うし、だからまだお金は払ったこと無いんだよ。」
「服部半蔵の直筆サインって、本物なの。胡散臭いわね。出世払いっていうけど、サスケ君の出世って、どうなれば出世なの。」
「え、わからないよ、そんなこと。出世しようなんて思ったこともないしそんなこと、第一考えてもみたこともなかったよ。だいたい出世って何なんだろう。会社勤めなら、課長になって、部長になって、社長になることを出世って言うんだろうけど、それって意味があるのかなあ。ぼくには良くわかんないなあ。サキちゃんは、どう思っているの。」
「あたしもよく分からないけど、世の中に認められることかな。別に大発明をするとか、大きな仕事をするとかじゃなくても良いんだけど、とにかく認められること。」
「出世払いというのは、別の言葉で言うと、『ある時払いの催促なし』と同じだよ。」
ノッポ君が、口をはさんできた。
「要するに、お金は払いたくなければ払わなくても結構です。と言うことさ。」
「なあーんだ。サスケ君、得しちゃったじゃない。」とサキちゃん。
「そうはいかないよ。ぼくはやっぱり払うよ。自分でお金を稼げるようになったら、必ず払うよ。借りっぱなしでいるのって、食事の後歯を磨かないのと同じで、気持ちが悪いじゃないか。」
「サスケはまじめだなあ。おまえみたいな奴ばかりだったら、世の中平和で良いのにな」


第一次隊(1)へ続く



第4章 黄泉(よみ)返りの森 第一次隊(1)

復習する

第一次隊

とうとう出発の日が来た。
 アドルフさんは、早くから来ていて、サスケ達の装備の手伝いをしてくれた。
 「防水のジャケットと、寝袋は忘れないで下さい。黄泉返りの森は1年に400日雨が降ると言われるほど、良く雨が降ります。それで植物が良く成長し、ジャングルのようになっています。」
 食料は、レトルト食品と乾燥食品が主で、宇宙船で食べられているチューブ入りの宇宙食も若干持った。
サスケは、念のため忍者食も持って行くことにした。意外と腹持ちが良いし、栄養価も高いし、保存が利くのが何よりさ。
 「さあ出発するぞ。」キャプテンが声をかけた。
 「おー!」皆は、一斉に声を上げた。
 サスケは、恐怖心を打ち消すために『鬼』と言う字を、山での遭難を避ける意味で『虎』と言う字を、そして、気持ちが前向きになるよう『大』と言う字を、右手で左の手のひらに書いた。
 とたんに、気持ちがしゃきっとした。
 アドルフさんを先頭に、一行は歩き始めた。
 黄泉返りの森の麓までは、すでに何度も探検済みなので、みんなは冗談を言い合いながら和気藹々歩いた。タスマニアフクロオオカミが出没するポイントでは、さすがにちょっと緊張したけれど、出くわすことは無かった。
 途中で、ジャイアントモアの親子連れに遭った。
 この前遭ったときは、子供のジャイアントモアはいなかったはずだから、最近生まれたらしい。それでもすでに、親鳥の背中ぐらいの高さに頭があり、首を左右に振り振り歩く姿は母親と変わらない。
 しかし、何かに驚くと、親鳥の背後に隠れるように回り込む。そして、長い首を一層長くして、何事が起こったかと視線をこらす仕草がかわいらしい。
 身体が大きい割に、表情や仕草が愛らしいとサスケは思った。こんな素晴らしい動物を絶滅させた人間は本当に許せないと心底思った。

 「しばらく休憩しよう。」
 キャプテンが言った。
 一行は手頃な岩や、倒木に腰を下ろして休憩することにした。
 「アドルフさん。この島にはどんな動物が棲んでいるんですか。」
 「そうだね、ジャイアントモアほど大きくはないけど、『ドードー』という鳥がいるよ。」
 「ドードーがいるの。そいつはすげーや。ドードーって17世紀に絶滅した鳥で確かアフリカのモーリシャス島に棲んでいたんだよね。この鳥が絶滅したために、カルヴァリアという植物も絶滅したんだって。」
 「あたしドードーって知ってるわ。」とサキちゃん。
 「たしか、ルイス・キャロルという作家だったと思うけど、不思議の国のアリスというお話しの中にドードーって鳥が出てきたわ。あの鳥でしょう。」
 「そうだよ。たいしたもんだね、サキちゃんの記憶力は。」
 「あら、それほどでもないわ。」
 サキちゃんは、まんざらでもないという顔をして、鼻をちょっとひくつかせた。これは本人は気づいていないけど、サキちゃんの得意なときの癖なんだ。
 「カルヴァリアの木はどうして絶滅したの。」
 「ドードーはカルヴァリアの木の実が大好物だったんだ。この木の実を食べるのはドードーしかいなくて、ドードーが絶滅したので、カルヴァリアが絶滅したんだよ。」
 「良くわかんないよ。ちゃんと説明してよ。食べる動物がいなくなれば、逆に増えるんじゃないの。」とサキちゃん。
 「ところがどっこい、こいつが違うんだな。カルヴァリアの木の実は堅い殻に覆われていて、その殻が邪魔をして、自然には発芽できないんだ。ところがドードーに食べられたカルヴァリアの木の実の殻は、半分消化され、糞と一緒に排泄される。殻はもろくなったけど、中の胚乳は未消化だから無事というわけ。半分消化されもろくなった殻は破れやすくなり発芽できるというわけさ。おわかりかな。サキちゃん。」と学者君。
 「なるほどそう言う訳なのか。持ちつ持たれつの関係にあって、共存共栄していたわけね。自然界のバランスって、本当に微妙なバランスで成り立っているのね。そしてそのバランスを崩すのは、いつも人間という訳ね。」とサキちゃん。
「そういえば、東京ではカラスが繁殖しすぎて、ゴミ置き場を荒らすので、カラスを捕まえることにしたら、今度は鳩が急激に増えたので鳩にえさを与えないようにということがあったね。元を質せば、人間がゴミの管理をしっかりして、野生動物にむやみやたらにえさを与えなければ、こんな問題は起きないと思うんだよ。
こんなに文明が進歩したのに、人間は人類が出現したときからゴミ問題に取り組んでいる。貝塚なんて言うのは、昔の人のゴミ捨て場だよね。おかげで、その当時の文化とか、気候とかが分かるんだよね。」とサスケ君。
「そうだね。貝殻や、動物・魚の骨などで作った、釣り針などの道具も見つかっているし、木の実や植物の種なども出てくる。そのものに含まれる炭素を調べると、細かい年代まで測定することが出来るんだよ。」と学者君。
「それじゃあ、東京の夢の島なんかも、何千年も先には、ぼく達の暮らしぶりが分かると言う寸法か。でも、今は、細かく粉砕したり破砕して処理しているから、復元するのは大変だろうな。それと、高温で燃やしているから、跡形もなくなってしまって調べることすら出来ないかもしれないね。」とサスケ君。
「青森県の下北半島には北限のニホンザルがいて、大事に保護されてきたが、保護しすぎて数が増え、今度は農作物を荒らすようになった。仕方なく、村ではニホンザルを捕獲することにした、と言う笑えない話もある。野生動物に人間があまり干渉してはいけないんだ。かといって、保護しないと絶滅するおそれのあるレッドマークの動植物は、放っておけないよね」と学者君が続けた。
「外国からも、様々な動物がペットとして輸入されているけど、何らかの理由で、野生化して増えすぎて被害が出てきているよね。アライグマなんか小さいときはぬいぐるみみたいにかわいいけど、意外と凶暴で飼い主が持て余しちゃう。飼いきれなくなって、山や野原に捨てたのがいつの間にか繁殖して、被害をもたらすという訳ね。ペットを買う人は最後まで責任を取らないといけないわよね。」と、サキちゃん。
「ペットだけじゃないよ。沖縄では、毒蛇のハブの天敵としてマングースを島に持ち込んだけど、ハブは一向に減らないで、マングースだけが繁殖していった。マングースは元々雑食でハブを好んで食べる訳じゃないからね。他に食べるものがあれば、好きこのんで危険な毒蛇を捕まえようなんてことはしないだろう。
西表島でヤンバルクイナという新種の鳥が発見されたけど、この鳥も絶滅の危機に瀕しているんだ。ヤンバルクイナは飛ぶことの出来ない鳥で、地上を歩き回っているときにマングースに襲われることが多いらしい。それと、人間の飼っているペットの猫もヤンバルクイナを襲うらしいよ。」と、学者君。
第一次隊(2)へ続く


2006年09月18日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 第一次隊(2)

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第4章 黄泉(よみ)返りの森 第一次隊(2)

10分ほど休憩し、「さあ、そろそろ出発しよう。これから先は、いよいよ黄泉返りの森だ。細心の注意を怠らないように。」とキャプテンは注意を促した。
サスケはもう一度、「十字法」の『鬼』、『虎』、『大』の字を左の手のひらに、力強く書き、握りしめた。
黄泉返りの森に、一行はとうとう足を踏み入れた。もう後戻りすることは出来ない。
うっそうと茂った森は、人為的に造られた道など一本もなく、地上に届く光もごくわずかで、薄暮のような暗さだった。
悪戦苦闘しながら一行は進んだが、蔦のようなつる性の植物が行く手を阻み、いばらのようなとげのある茂みは容赦なく肌に突き刺さった。進んでも進んでも、果てしないジャングルが延々と続いていた。まっすぐ進みたくても、進めないところが随所にあり、磁石はあっても、思った方向に行けるわけでもなく、無いよりは有った方がましという状態だった。
 地表には、背丈ほどもあるシダ類が繁茂し、倒木は朽ち果てて苔むし、食虫植物が大きな罠を仕掛けていた。
 地上と比べ、頭上はにぎやかで、猿やインコが盛んに動き回っていた。ぼく達が進入したのに気がついたのだろうほえざるが、盛んに声を発していた。その声は一行を威嚇しているようでもあり、仲間に何かを伝達しているようでもあった。
 何かの時バウリンガル・アニマルが役に立つかもしれないと持ってきていたので、試しにバウリンガル・アニマルのダイヤルをほえざるに合わせて聴いてみると、『見カケナイチン入者ガイル。警戒シロ。』『目ヲ離スナ。』と言っているようだった。
 バウリンガル・アニマルが役に立つことが分かって、張りつめていた気持ちが少し和らいだ。みんなの表情からも険しさが少し和らいだのが感じられた。
 「この森の住人にとって、我々は異邦人という訳か。」
 「そりゃそうだろう。何百年もの間、人間はこの森に足を踏み入れていないのだから、警戒されて当たり前。」
 「ぼく達が動物を怖がると同じように、彼らもぼくらを怖がっているかもしれない。」
 「あら、ドードーは人間を怖がらなかったから、絶滅してしまったのよね。」
 「サキちゃん、大丈夫かい。怖くないかい。」キャプテンがサキちゃんに声をかけた。
 「あら、あたしは大丈夫よ。それより、キャプテン、あなたのほうこそ腰が引けてるわよ。しっかりして下さいね。」と逆にはっぱをかけられる始末。
 サキちゃんって芯の強い子だなあとサスケは思った。
 悪戦苦闘を繰り返しながらも、少しずつ進んでいくと、突然目の前に、猫の額ほどだが幾分開けたところにでた。そこには自然の岩とは思えない、人造の石碑のように見えるものが建っていた。
第一次隊(3)へ続く


2006年09月20日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 第一次隊(3)

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第4章 黄泉(よみ)返りの森 第一次隊(3)


その岩は、全体に緑色のこけが密生しており、時代の古さを暗示していた。
 アドルフさんは腰に下げたナイフケースからナイフを取り出し、注意深くこけをそぎ落とすと、そこには文字のようなものが現れた。
 全てのこけをそぎ落とすと、確かに何かが書いてある。ぼくらには皆目判読できない文字だったが、どうやらアドルフさんには分かったらしい。
 アドルフさんは、「石碑には、こう書かれています。『これより先、神の聖域なり。何人も進入を禁ず。』」と言った。
 「と言うことは、やはりこの先に何かがあると言うことだ。」とキャプテン。
 やっとここからが本番なのか。今までの道のりが序の口とすると、相当覚悟しないと、目的地にはたどり着かないぞ。誰もがそう思った。
 一行が、緊張して気を引き締めていると、どこからともなく、うんこのような臭いが漂ってきた。
 「サスケか、おならをしたのは。」
 「ぼくおならなんかしませんよ。そんなこと言って、キャプテン、自分がしたのを他人のせいにしょうとしてるんじゃないの。根性が悪いんだから。」
 「それにしても臭いな。」
 「きっと、ラフレシアという花が咲いたのでしょう。」とアドルフさんが言った。
 「ラフレシア。」
 「花の直径が1メートルもある、世界最大の花だよ。この強烈な花の臭いにつられて、ハエが飛んできて、受粉するんだ。花は一週間ぐらいしか咲かないし、つぼみのまま開花しないこともよくあるので、ラフレシアを見ることが出来たらラッキーだよ。この近くにあるはずだ、探してみようよ。」と学者君が言った。
 臭いのする方をたよりに探していくと、肉厚で毒々しい赤い色にまだら模様をした花びらが5枚の植物を見つけることが出来た。
 茎も葉っぱもなく、直接地面から咲いたようで、不気味な植物だった。お世辞にも綺麗といえるものではなかった。
 「花の直径では、ラフレシアが一番だけど、柄の長さまで入れると、アモルフォファルス・タイタニウムという植物が世界最大の花かな。これはこんにゃく芋の仲間で、腐った肉の臭いがするといわれているよ。それで別名『死体花』とも言われているよ。それにしても、この臭いはたまらないな。」
 「学者君って、本当に何でもよく知っているのね。尊敬しちゃうわ。」
 ラフレシア探しで少し道草を食ったので、休憩を一回抜かして、進むことにした。
 森の静寂を破るように、時折、猿やインコの鳴き声がこだました。
 相変わらず、動物たちは、サスケ達の進入を警戒して、仲間たちと連絡を取りあっているようだった。

 「おやびん。思った以上に大変なジャングルでげすな。」
 「忍術を会得している、我々にとっても骨のあるジャングルだな。」
 「この先何があるんでやんしょ。」
 「そんなことなど皆目分からん。それより、道に迷わないよう目印は付けているんだろうな。」
 「任せておいて下さいよ。おやびん。こう見えても、私は追跡、尾行には自信がありますから。以前、私立探偵事務所に勤めていたことがあり、数え切れないほども尾行調査をしましたからね。結構良い収入になったんですよ。あの仕事は忍者向きですよ。
ところで、おやびんは、クライアントは男と女とどちらが多いと思いますか。」
「そりゃおまえ、男の方だろう。」
「ぶー。残念でした。女性の方が圧倒的に多いんですよ。クライアントの依頼内容は、浮気調査がダントツ一位ですね。それでね、浮気現場の写真なんか証拠を揃えるんですがね、完全に黒だというのに、認めようとしないんですね。女心は微妙ですね。それだったら端(はな)から調査なんか頼まなければ良いんですよ。」
「それが女心というモンだよ。だからおまえさんは、いつまでも独り身なんだよ。」
「とんだとばっちりだ。あたしが所帯を持たないのは、それなりの訳があるんです。」
「そりゃ初耳だ。聞かせてもらおうじゃないか。」
「そんなこと言えるわけ無いじゃありませんか。」
「それより、あの石碑にはなんと書いてあるんでやんしょ。」
「あのこけの付き方から推測すると、かなり古い代物だな。あれは。」
Raflesia01.jpg


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2006年09月21日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 怪物ミノタウルス(1)

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怪物ミノタウルス

一行は、なおも深い森の中を突き進んだ。
気がつくと、さっきまでにぎやかに鳴いていた鳥や獣の鳴き声が、いつの間にか消えていた。
辺りには、水を打ったような静寂が広がっていた。
「どうしたんだろう、あんなに泣き叫んでいた動物の鳴き声がぴたりと止んでしまったよ。」
「なんだか不気味だな。」
「一体どうしたというんだろう。」
「あいつが現れるかもしれない。」
「あいつって誰なんですか。アドルフさん。」
「しーっ、黙って。」

突然、空気を揺るがすような、地響きが伝わってきた。
地響きは次第に、サスケたちに近づいてきた。それはまるでゴジラが大地を歩いているようだった。
大木がバキッ、バキッと折れる音とズシン、ズシンと大地を踏みしめる音がすぐ近くまで近づいてくるのが判った。
「とうとう出てきたか。化け物めが。」
目の前の大木が左右に引き倒され、怪物が現れた。
頭が牛で体は人間という異形の姿をしていた。
まるで、ギリシャ神話に出てくるミノタウルスにそっくりである。
『サスケ』は咄嗟に『鬼』という字を、左の手のひらに右の人差し指でなぞった。
十字法の鬼という字は『恐怖心を消し去る』意味がある。
『サスケ』の心には、不思議と恐怖心が無くなり、勇気が湧いてきた。
更に、「臨(りん)」「兵(びょう)」「闘(とう)」「者(しゃ)」「階(かい)」「陣(じん)」「列(れつ)」「在(ざい)」「前(ぜん)」と早口で唱えて、それに合わせて九字の印を切った。
『サスケ』の心が落ち着いてきた。

「お前達、何しにやってきた。ここを『黄泉(よみ)返りの森』と知って踏み込んできたのか。」
「返事しだいでは、皆殺しにしてやる。」
天地を揺るがすような大音響がこだました。

アドルフが答えた。
「我々は決して怪しいものではない。」
「私達は、この島に伝わる『天の岩戸伝説』を調べるためにこの森に来たのです。」
「『天の岩戸伝説』だと。そんなことを調べてどうする?」
「私達の村には『光のへそ』が『天の岩戸』を開くという伝説があるのです。」
「そのとき大洪水が起こるといわれているのです。」
「なるほど。天の岩戸は貴様達の推理どおりこの森にある。」
「えっ、本当ですか。」
「やっぱり僕達は正しかったんだ。」
「しかし、お前達には見つけることは出来ないだろう。」
「何故ですか?」
「お前達の行く手には、様々な困難が待ち受けているであろう。」
「僕達、困難なんて平気です。」
「強がりを言うんじゃない。」
「強がりなんかじゃありませんことよ。」
「これはこれはお嬢様。随分と勇ましい。」
「おじさんはなんていう名前なの。」
「わしか。わしの名前はミノタウルスというのじゃよ。」
「ここで何をなさっているの?」
「この森の番人じゃ。」
「ミノタウルスさん。貴方クレタ島に帰りたくないの。」
「何故わしの故郷がクレタ島とわかったのじゃ。」
「やっぱりそうなのね。ギリシャ神話に貴方のことが書いてあるわ。」
「可哀想なミノタウルスさん。」
「そりゃあ、帰りたくも無くもないが、番人の仕事もあるでよ。」

ミノタウルス
ギリシャ神話に、ミノタウルスという怪物がいる。頭が牛で体は人間という異形の姿をしている怪物である。ミノタウルスは、父であるクレタ島の王様ミノスが、ポセイドンの神(海の神)へ貢ぎものをしなかった報いとしてこの世に生を受けた。ミノス王が、貢ぎ物をしないことに腹をたてたポセイドンは、牡牛を使わせて、ミノス王の妻を誘惑させる。そして生まれたのが、怪物ミノタウルスだった。ミノタウルスは、生まれながらにして、人に疎まれ嫌われる宿命を背負って生きることになる。


「わしの仕事は、この森に入ってきた奴は、なんびとたりともこれ以上奥には入れさせないことだ。」
「但し、わしの出すなぞなぞに答えられれば、通ってもいいぞ。」
「なぞなぞですか。」
「さあ、どうする。」
ミノタウルスは、いかにも獰猛そうな目を光らせて、にやりと笑った。
「それが出来なけりゃ、奥へはいけないのだから、やってみようよ。」
怪物ミノタウルス(2)へ続く




2006年09月23日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 怪物ミノタウルス(2)

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mino.jpgミノタウルス像(画像をクリックすると大きくなります)
「中々物分りがいいな。小僧。名前は何と言う。」
「おいらかい。おいらの名前は海江田明だよ。でも皆はサスケと呼んでいるよ。」
『サスケ』は落ち着いて答えた。
 『九字法』の印を結んだお陰で、サスケの心は非常に落ち着いていた。
 「サスケか。いい名だな。」
 「そうですか。実は僕も気に入っているんです。」
 「ところで、おまえたちは、天の岩戸を見つけてどうする気じゃ。」
 「だから、さっき言ったでしょう。おじさん頭悪いね。」
 と、サキちゃん。
 「何だと。頭悪いだと。俺様が一番気にしていることを言いやがって。もう、頭来た。」
 「私達は、天の岩戸を見つけて、洪水を防ぎたいの。」
 頭に血が上ったミノタウルスはサキちゃんの話など上の空。
 「いいか、問題を出すぞ。」
 「水はあるが火はない。砂はあるが土はない。花はあるが草はない。さあ、これは何かな?」
 「あるなしクイズか。」
 「さあ、どうだ。参ったか。」
 「うーん。」
「うーん。」
「あーでもない。」
「こーでもない。」
「さあ、どうだ、降参か。もうそろそろマイムリミットだぞ。」
「一寸待ってよ。」
「判ったワ。ミノタウルスさん、ヒントありがとう。」
「何だと。わしはヒントなど出しておらん。」
「答えは、時計ね。貴方がタイムリミットておっしゃったじゃない。ありがとう。」
「これはしくじった。わしとしたことが。」
「仕方が無い。約束じゃから通してやるが、何があってもわしは知らんぞ。」
「そうだ、これを持って行け。」
ミノタウルスはそう言うと、腰に下げた袋の中から、何か取り出した。
それは、サスケが首から提げているメノウの勾玉と形と大きさが同じヒスイの勾玉だった。
「お前の持っているメノウの勾玉と、このヒスイの勾玉がきっとお前達の手助けをしてくれるだろう。」
「ミノタウルスさん。ありがとう。」
サスケは、ヒスイの勾玉の穴に紐を通し、メノウの勾玉と一緒に首からぶら下げた。
「貴方は、どうすればクレタ島へ帰れるの。」
「わしにも判らんのじゃ。」
「私達にできることがあったら、協力してあげるからね。」
サスケたちは、無事に通してもらうことが出来た。

 「サスケ君は、実に落ち着いていますね。おやびん。」
 「そうじゃな。しっかり修行を積んでいる証拠だな。頼もしい限りだ。」
 「しかし、あのミノタウルスも恐ろしい形相をしているから、大暴れするかと思いきや、なぞなぞだってよ。」
 「なぞなぞなんて、小学校以来ですかね。」
 「私は結構得意だったんですがね。」
 「上は大水、下は大火事なーんだ。」
 「答えはお風呂だろうけど、今どき五右衛門風呂やガスで風呂を沸かす家なんか無いから、そんな古典的ななぞなぞは今どきの若い連中にはわからんよ。」
 「それじゃ、こんなのはどお。削れば削るほど多くなるものなーんだ。」
 「またまた懲りずに、超クラシックななぞなぞだな。それは、鉛筆の削りかすだろう。今どき鉛筆なんて使わないし、判るのはせいぜい俺達の年代までだよ。」
 「おっと、見失ってしまう。」
 「気をつけて行こう。」

「ミノタウルスさんて、あんなに怖い顔をしているから、一時はどうなるかと思ったけど、意外と紳士だったわね。」
 「トンボ君は震えていたわよ。大丈夫。」
 「だって、本当に怖かったんだもの。チ○ポが縮んじゃったよ。」
 「何よ。レディーがいることを忘れないでね。それって、セクハラよ。」
 「ごめん、ごめん。」
 相変わらずあたりは木々がうっそうと茂り、昼なを暗いジャングルだったが、一行は前へ前へと前進していった。

 一行の上空を1羽の黒い影が旋回していたが、ことの成り行きを確認すると何処かへ飛んでいった。
IMGP0185b.jpgヒスイの勾玉


怪物ミノタウルス(3)へ続く


2006年09月25日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 怪物ミノタウルス(3)

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「サスケ君はとても落ち着いていたけど、怖くなかったの。」
 「そりゃ、ミノタウルスの顔を見たときはとても怖かったよ。正直な話。」
 「だよね。あの大きさだし。風貌も凄いもんね。」
 「でもね、九字法の印を切ったら、不思議と落ち着いてきたんだよ。」
 「忍術って、凄いんだね。」
 「サスケさん、私にも教えてよ。」
 「結構大変だよ、忍術って。」
 「平気よ。」
 「それじゃあ、浜に戻ったら基礎的なことを教えてあげよう。」
 「本当。わあ、うれしい。」
 そんな会話を続けながら、一行は森の奥へ奥へと進んでいった。
 時々、絶滅動物や絶滅植物を見かけたが、一行は大して驚かなくなっていた。
 それほど、頻繁に絶滅動物が現れるので、彼らの感覚も麻痺してしまったようだ。
「僕、思ったんだけど、黄泉返りの森って、蘇えりの森じゃないか?」
「絶滅動植物が蘇える森だよね。」
「神話の生き物もいるわ。」
「そうだよね。」
「神話も蘇えっちゃうのかしら。」
「もしそうなら、ミノタウルスさんもクレタ島に帰れるかもしれないな。」
「なんかおぼろげに見えてきたぞ。」
「だから、ヤタガラスも出てきたのか。」

一行は立ち止まり、それぞれの考えを述べ合った。
「それじゃあ、光のへそ伝説はどうなんだろうね。」
「例の『光のへそが天の岩戸を開く』というやつだよね。」
「そうそう、それだよ。」
「天の岩戸が開くと大洪水が起きるんでしょう。アドルフさん。」
「そういわれているんです。」
「天の岩戸がこの森の中のどこかにあることは間違いないようだ。」
「島に残っている古地図には、『恨みの滝』という所があります。」
「恨みの滝ですか。」
「恨みの滝に行けば何か判るかも知れませんね。」
「そうだね。」
「恨みの滝はここからまだ遠いのですか。」
「そうですね、距離的にはそれほど遠くはありませんが、何しろこのジャングルですからね。順調に行って、4~5日は掛かるでしょうね。」
「後4~5日か。判断に迷うな。」

怪物ミノタウルス(4)へ続く


2006年09月27日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 怪物ミノタウルス(4)

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キャプテンは暫く考え込んでいたが、どうやら考えがまとまったようだ。
「皆聞いてくれ。」
「なんだい、キャプテン。」
「いろいろ考えたんだが、第一次隊の探検はここまでにしたいと思うんだ。」
「たった5人だけで、これ以上続けるのは危険だと思うんだ。ここまでで既に、10日が経った。この先の『恨みの滝』までは、順調に行って4,5日掛かるということだから、浜に戻るには出発から30日以上掛かることになる。それだけの装備もしていないし、ここはひとまず皆のいるところへ戻って、作戦を練り直したいと思う。」
「残念だけど、しかたがないわね。」
「くやしいな。」
一行が車座になって、話し合っている背後で、何か地面を引きずるような音が近づいてきた。
しかし、皆は話に夢中で、気がつかなかった。

突然、巨大な植物の蔓が延びてきて、アドルフさんの左足首に絡みついた。
絡みついた蔓は、万力のような力でアドルフの足首を締め上げた。
見る見るうちに、左の足首から下は色が変わっていった。
明らかに、血液が通わなくなっている。
さらに、もう1本の蔓が延びてきて、右腕に絡みついた。
アドルフは、腰に差してあったサバイバルナイフで切ろうとしたが、自由を奪われ思うように動けない。
「アドルフさん、大丈夫か?」
「今助けるから。」
蔓はまるで、蛇が獲物を締め上げるように、強力に締め上げてくる。
後数分この状態が続けば、アドルフの骨は砕けてしまうに違いない。
もう一刻の余裕も無い。
キャプテンは渾身の力を込めて、なたを振り下ろすと、腕に絡みついた蔓が切れ落ちた。
すかさず、足に絡んだ蔓も切り落とした。
皆は、すぐさまその場を離れた。
蔓が襲ってくるような気配は感じられなかった。

アドルフの足と腕には、切断された蔓の一部が絡みついたまま残されていた。
取り外して見ると、体にはかなり食い込んだ痕がはっきりとわかった。
蔓の先端には、吸盤のようなものがついており、一度絡みついたら、枯れても離れないのではないかと思われた。
「やはり何が起こるか判らない。」
「一旦戻って、装備などを立て直して出直そう。」

「おやびん、あの植物はなんですか。びっくりしましたね。」
「あれは食虫植物の一種で、タコアシツタの仲間だろう。しかし、あんなに巨大化したのは見たことも聞いたことも無い。」
「これから先、あんなのに襲われたらたまったもんじゃないですね。」
「タコアシツタは高度なセンサーを備えている。」
「センサーですか。」
「そうだ、センサーだ。」
「動物の体温を感じ取ると、その方向に蔓が伸びるようになってなっている。そして、その発熱体に触れると、絡みつき締め上げる性質を持っているというわけさ。」
「なるほどね。」
「ところで、五遁マスターマントの威力は流石だな。」
「そうですね。船の中でも、我々の気配を消し去ってしまいましたからね。」
「あの蔓は、お前の足元をはいずっていったが、全くお前には反応しなかったものな。」
「そうですよ。私も一瞬ドキッとしましたけど、何事もなかったですからね。ところで、おやびん、私達はこれからどうしましょうかね。連中はどうやら引き返すようでげすよ。」
「そうだな、食料の忍者食は後どれぐらいもつのかな。」
「そうですね。ざっと20日はもちますね。」
「そうか。『恨みの滝』までは4,5日掛かるから、行って来れないこともないな。」
「おやびん。行きましょうよ。」
「じゃあ、そうするか。」
謎の2人組みはジャングルの深部へと消えていった。

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