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2006年08月12日

第1章 出航 危機脱出(2)

復習する


「ところで『学者』。そのグランドなんとかというのは何なんだい。」と、『キャプテン』が、『学者』君に聞いた。
『キャプテン』君は同じ高校2年生だが学校は別である。彼はサッカー部の主将をしている。それで『キャプテン』って呼ばれてるのだ。本名は三浦知良。
「グランド・クロスだよ、キャプテン。太陽系の惑星が太陽の片側に全て集まる現象で、半世紀ほど前の1999年8月18日のグランド・クロスでは、水星、地球、火星、木星、土星、冥王星と月が一直線に並び、この直線と直角方向に天王星と海王星が並び、金星が少しずれたが水星の近くに位置してグランド・クロスを形成した。過去に、惑星が片側に多く集まると強力な電波障害が起こることが確認されていたんだ。これほど見事に、グランド・クロスが形成された記録はないし、今後あるとしても、遠い未来の話だ。世界中が大パニックに陥るので、このことは報道されなかったが、過去に例のない電波障害が現れた。だから、きっと宇宙ではとてつもないことが起こっているに違いないと確信して、小惑星の軌道を調べていたのさ。その結果大変なことが分かった。小惑星04262イチローが地球に衝突するかもしれないんだ。」
「小惑星って、いったいどのくらいの数があるの。」
「正確には分からないけど、軌道がわかっているだけで20万個以上あるよ。100万個を超すのは時間の問題だね。数千万個はあるだろうと予測されているよ。1801年1月1日に最初の小惑星ケレスが発見されてから関心を集めるようになり、毎年多くのアマチュア天文家が夜空を捜索しているよ。
だってそうだろう。彗星は年に数個しか出現しないのに比べて、未発見の小惑星はそれこそ星の数ほどあるんだぜ。ぼくもいつか発見できたらいいと思っているんだ。
発見した人には特別のご褒美があるんだ。」
「ご褒美って何。」
「発見した小惑星に名前を付ける権利をもらえるんだ。すごいだろう。」
「本当?」
「本当だとも。日本人が発見した小惑星で、コマツサキョウというのがあるよ。群馬県の小林隆男さんというひとが発見して命名したんだ。その他にもユニークな名前があるよ。
アンパンマンとか仮面ライダーとか、道後温泉なんて言うのもあるよ。」
「へー、すごいな。ぼくも、小惑星ハンターになろうかな。」
「2005年には、10番目の惑星セドナが発見された、と話題になった。でも、直径が冥王星の4分の3しかなく地球の衛星の月よりも小さいので小惑星か、惑星かで意見が分かれてケンケンガクガクだった。2006年8月25日にとうとう結論が出た。冥王星は矮惑星という結論になった。わずか76年で、冥王星は惑星の仲間からはずされてしまったんだ。
冥王星は発見されたときから、惑星ではないのではないかと疑問視する学者が多かったんだ。小惑星と惑星の純然たる区別が無いのが原因なんだ。小惑星ケレスの直径が約1千キロメートルで、2002年に発見された幻の第10番目の惑星といわれるクワーオワーは約2千キロメートル、月の3分の1しかない。セドナクラスの惑星はこれからも何個かは見つかると思うよ。まちがいない。」
「2006年8月25日まで惑星の数は9個だった。2006年8月25日に国際天文学連合総会で、惑星の新定義が提案され、一気に12個に増える予定だったんだ。ところが、この新定義は否決され、挙句の果てに冥王星が惑星から降格して、惑星の数は8個になったってわけさ。」
『学者』君のうんちくは際限なく続いた。
レーダーには、南南東方向20マイル先に船舶の航路が映し出されていた。
徐々に、『カメレオン号』との距離が縮まっていった。
 船長の指令からすでに5分が経過していた。
『カメレオン号』の船体は、甲板は濃い藍色に、船底は乳白色に変化し、まるで巨大なマグロのように大海原に溶け込んでいった。
 程なく、『カメレオン号』は、海上から忽然と姿を消していた。

 「今はまだ、何処の船とも遭遇したくない。われわれの目的を達成するまでは。」吉里吉里国元大統領のカツゾーじいさんは心の中でつぶやいた。
 日本国の領海内、領空内には、国境警備のための巡視艇や偵察機が増強されていた。
 石油資源が掘り尽くされ、百年後には枯渇することが明白になってから、天然ガス資源に注目が集まるようになり、ガス田の開発が脚光を浴びてきた。日本の周辺海域には、優良なガス田が多数存在することが明らかになり、開発に当たって、隣国とのトラブルも頻発するようになった。
さらにアメリカが名指しする東洋のならず者国家の世襲による独裁体制がほころび、粗末な漁船に乗り込んだ難民も急激に増加して密入国が後を絶たないため、警備が強化されているのだった。
さらに、日本のマフィアと手を組んだ地下組織が、覚醒剤、LSD、拳銃、偽札などを海上から日本へ持ち込もうと、暗躍しているものだから、国境警備隊はその取り締まりにも本腰を入れ始めたのだった。

 もう半日も航行すれば、間違いなく公海に達する。それまでの辛抱だ。
 『カメレオン号』は、普通に航海している分には、レーダーで捉えられることはない。
 偵察用の人工衛星に積み込まれたカメラは、地上の車の動きまでも捉えることが出来る
ほど精度が優れているが、それにすら『カメレオン号』は捉えられることはない。
熱を外に出さないので、赤外線カメラには感知されることはない。超音波も吸収してしまい跳ね返さないため、レーダーやカメラの目から逃れることが出来る。
さらに、特殊塗料と特殊合金で造られた『カメレオン号』は、擬態と保護色の合わせ技で、視覚を惑わすこともできる。まさに、カメレオンなのである。

 どうやら、『カメレオン号』のレーダーが捉えた船舶は、『カメレオン号』には気づいていないようだ。
 すでにその船舶は、『カメレオン号』の後方を西に向かって進んでいた。

20××年7月28日。この日は、『カメレオン号』の乗員たちにとって忘れることのできない記念日となった。なぜなら、その日、彼らは日本国籍を捨てることになった。
戸籍法が改正され、簡単になったとはいうけれど、国籍を新たに取得したり、復活することはそれなりに大変だけど、捨てることは簡単に出来る。
長年にわたって綿密に計画された彼らの日本脱出計画は、ついに実行されることになった。

危機脱出(3)





posted by 冬野☆男 at 15:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 第1章 出航 危機脱出 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちわ!

コメント、およびリンク、どーもどーもでした。
どうやら逆順はまだできてないみたいですね・・。

seesaaネットはFC2と同じ(はず)なので、環境設定からブログの設定に入り、『記事の表示する方法』を、日付が古い順 に変えます。これでOKです。
これはたぶん、たいていのブログにはついている機能だと思いました。

その上で、冒頭になる「あいさつ記事」の日付をおもいっきり古く変更すると、常に一番最初に表示されます。便利なのでやってみてください。

こちらもリンクはっておきましたよ。

『ブログ評論』にも紹介入れといたので、そのうちリンクされると思います。

ではでは。がむばってください。
Posted by くろわっ at 2006年08月13日 03:40
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