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2006年08月18日

第1章 出航 カツゾーの夢(2)

復習する



演算機能の優れたスーパーコンピュータも丸ビルのような巨大な大きさは必要なくなり、せいぜい丸ビルの中のワンルームで事足りるようになるはずだ。
そうなれば、船に積み込んで運用することも可能になる。だから、コンピュータのスペシャリストを今から養成しておかなければならない。」カツゾーじいさんはここまで一気にまくし立て、一息入れた。そして、会議のメンバーを見回した。
みんなは、カツゾーじいさんの演説に酔いしれ、新たな闘志を胸に秘めた。
「さて、諸君はシーランド公国という国を御存知かな。イギリスの東岸10キロメートル沖合いにシーランド公国がある。元々はイギリス軍の海上要塞として建設されたものだが、第二次世界大戦が終わってイギリスが手放し、誰も常駐しなくなった。
1967年9月2日、パティー・ロイ・ロバーツなる人物がこの要塞に突如上陸し、あろう事か独立宣言をした。
世界は狭い、わしらと同じようなことを考えるやからがいたのだよ。
慌てたイギリスはそんなことは認められないと裁判を起こしたが敗訴してしまった。
このシーランド公国には14人が住んでおり、軍隊もある。といっても兵士は一人だけで、武器もライフル銃が一丁あるだけらしい。
しかし、通貨もあるし、切手も発行している。国旗もある。われわれにとってはとても参考になる。」

そのときを境に、プロジェクトチームが結成され、海上生活のための研究がスタートしたんだって。

二度目の独立工作は、以前にも増して慎重にならざるを得ない。
だってそうだろう、それこそ公安当局も吉里吉里国に対しては不穏な動きが無いかと毎日目を光らせていただろうから、なおさらだよね。
アジトを作らなければならないが、さりとて広大な用地の取得や工場の建設は目立ちすぎて危険がありすぎるから行き詰っていたんだ。そんな折、独立準備のカモフラージュには格好の物件が見つかった。
造船不況で経営に行き詰っていた鶴亀造船所を破格の値段で手に入れることができ、そこで密かに『カメレオン号』の造船が始まったんだって。
30数年前、吉里吉里国は、日本国の執拗な抵抗に遭い独立には失敗したんだけれど、幸いなことにあの時用意した潤沢な軍資金は日本政府に発見されることなく無事だった。その軍資金の一部を、鶴亀造船所の買収資金にあてたのだそうだ。
「『カメレオン号』は非武装中立を目指すため兵器と呼べるほどの武器は搭載していないが、最新の科学技術の粋を随所に集めてある。」とぼくのお父さんが言っていた。
そのひとつは、石油などの地下埋蔵エネルギーや、使用済み副産物の安全処理が完成していない原子力エネルギーなどは一切使わないで、地球環境にやさしい水と太陽と風からエネルギーを作り出していることなんだって。
ぼく、物理はあまり得意じゃないから良く分からないけど、高校生の『学者君』お兄ちゃんが教えてくれた。
「水を電気分解すると、水素と酸素になる。水素ガスをコントロールして燃やし、エネルギーとして利用する。
この地球上では化石エネルギーは有限だが、水は無限にあると考えていい。水素ガスとして利用した後は、最終的に水と二酸化炭素に戻るからいつまでも再生される。
これこそ究極のエネルギーなんだ。
今は、石油産出国が石油を送り出すために、パイプラインが延々と続く風景が見られるが、将来は、水を送るためのパイプラインが世界中を埋め尽くすことになるだろうな。
さんさんと降り注ぎ、地球を温めてくれる太陽のエネルギーも今はほとんど利用されていないんだ。
サスケ君はソーラーカーって知っているよね。それと、人工衛星のエネルギーも太陽光を利用しているんだけれどまだまだ利用価値があるんだ。
海の上で生活するには、どちらも直ぐに手に入る重要な資源だから、『カメレオン号』はこのただで手に入る資源の利用方法をとことん取り入れているんだよ。
ただ、晴れの日ばかりとは限らないから、風力や潮力も利用しているけどね。」

カツゾーの夢(3)


posted by 冬野☆男 at 18:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 第1章 出航 カツゾーの夢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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