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2006年08月28日

第2章 大航海 怪鳥ヤタガラス

復習する

怪鳥ヤタガラス
『ノッポ君』と『ネネちゃん』の会話が弾んでいる時、一羽の見慣れない鳥が飛んできて、『カメレオン号』の一番高いマストに停まった。
その鳥は、羽が真っ黒で一見カラスのように見えるが、大きさはふた周りほど大きく、どこか様子が違う。よく観ると足が3本あるではないか。あれは、今世紀初頭に行われた日韓共同開催サッカーワールドカップの時の日本のシンボルキャラクター、ヤタガラスに違いない。竜馬は咄嗟にそう思った。
「ネネちゃん、ちょっと待っててね。」
ノッポ君はそういうと、さっと駆け出していき、船室に向かった。

「本当なんだ。確かにこの目で見たんだ。神話の中に出てくる空想の鳥だとばかり思っていたんだけれど、現実にみたんだ。あれは間違いなくヤタガラスだよ。」
そう言いながらノッポ君は、息せき切って大人たちを引き連れてネネちゃんのところへ戻って来た。
「その鳥は何処にいるんだ。」
と、イサムおじさんが叫んだ。
「ほら、あそこのマストの上だよ。」
と言いながら、ノッポ君は中央のマストを指差した。
そこには、3本脚の真っ黒な鳥が1羽辺りを睥睨するように悠然と留まっていた。
「確かに脚が3本有るけど、本当にヤタガラスかな。奇形の一種じゃないの。」
と、太一おじさんはいった。
「なんだか気味が悪いわね。」
と、イサムおじさんの妻真理亜さん。
「一体何処から飛んで来たんでしょうね、ここは太平洋のど真ん中だというのに。」
と、太一おじさんの妻みどりさんは不思議がった。
「良い知らせなの、それとも悪い知らせなの。いったいどっちなのかしら。」
と、マリアさんはつぶやいた。
「日本最初の歴史書日本書紀では神の使いとしてヤタガラスは書かれているから、吉兆に違いない。」
と、イサムおじさんが言ったので、一同は安心した。
甲板に人が出てきたのを確認するように、『クアー』と短く一声鳴きヤタガラスは、夕焼けに染まる西の空をめがけて何処ともなく飛び去っていった。
ヤタガラスが飛び立つ時、太陽の光を受け、まばゆい光を放ちながら落下するものがあった。それは、甲板に落ち、ノッポ君の足元にころころと転がってきた。
ノッポ君が拾い上げてしみじみと眺めた。それは町の郷土博物館で見た勾玉(まがたま)の形をしていた。
神話に詳しい太一おじさんが、「これはひょっとすると“ヤサカニノマガタマ”かもしれない。通常の勾玉よりは大きいし、第一風格がある。図鑑で見たのに良く似ている。」
「トンボ君の小父さん、えーと、ヤサカ何とかって何のことなの。」
と、ネネちゃんが尋ねた。
「ヤサカニノマガタマというのはな、日本神話の中に出てくる三種の神器のひとつで、メノウで作られた赤色の勾玉のことなんじゃよ。三種の神器の残りの二つは、クサナギノツルギとヤタノカガミといわれておるんじゃ。クサナギノツルギは、ヤマトタケルノミコトが東征の際、この剣で草をなぎ払い、火攻めの難を逃れたことからこの名がついた。ヤタノカガミはアマテラスオオミカミの岩戸隠れの際に用いられたとされる銅製の大鏡のことを言うんじゃよ。」
と、太一おじさんは優しく説明してくれた。
「このヤサカニノマガタマは大事に取っておこう。何か役に立ちそうな予感がするんだ。」
と、学者君(野口博士)は言いながら、勾玉の穴にピカチューのストラップをつけ首からぶら下げた。その日の夕食の話題は、ヤタガラスのことでいっぱいだった。
「ヤタガラスって本当にいたんだね。サッカーのワールドカップのマスコットに、なんでこんなダサいのを選んだのかなと思っていたんだけれど、実際にこの目で見るとかっこいいな。」
と、サッカー好きのキャップテンが言った。
「ヤタガラスは『アマテラスオオミカミ』の使いとも、熊野の神々の使いともいわれておって、神武天皇が、あっ、これは神話に出てくる天皇で第一代目の天皇と言うことになっておるんだけど、実在したかどうかは疑わしいがの。この神武天皇が東征する時に、熊野から大和に入る険しい道の先導役をつとめ、勝利へと導いたとも言われておるんじゃ。だから、わしはわしらの航海には吉兆のような気がしとるんじゃ。きっと、われわれを目的地まで導いてくれるとわしは思おとるんじゃ。」
と、太一おじさんは明るい声で言った。

この日、日本からの衛星放送は、日本各地の博物館や宝物殿、資料館などで、瑪瑙や翡翠の勾玉が何者かによって盗難にあったことを伝えていた。関係者は、なんで勾玉だけを狙って盗んだのか皆目見当がつかないと話している。

翌日も、海は静かで快適な航海が続いた。
午前中に、1羽のコウノトリが飛んできて、石川弐右衛門半商店からの荷物を、甲板に落としていった。太平洋の真ん中に浮かぶ「カメレオン号」にどうやって荷物を届けることが出来るのか疑問に思っていたが、コウノトリ便というのは、まさに本物のコウノトリが運んで来るのだということが、このときわかった。
『サスケ』は早速、荷物を開けてみた。中からは、先日伝書鳩に注文書をくくりつけて注文した、「七方出」が現れた。「七方出」は変装用の衣装で、昔は商人や職人、農夫、侍などに変装するのに用いられたが、この「七方出」は現代の様々な職業や民族衣装にも、あっというまに変装できる物である。と、説明書には書いてあった。また、説明書には、自分の身長や体重などを入力するようにと書いてあった。
自分の体型にあった衣装になるとのこと。小さすぎたり、大きすぎてだぶだぶと言うことはないようだ。
『サスケ』は早速、エスキモーと入力してボタンを押した。すると、「七方出」を付けた『サスケ』の姿はアザラシの毛皮にくるまれていた。
これは凄い。何所からどう見ても、正真正銘のエスキモーだ。
それからいろいろな仕事や、民族の名前などを入力しては、ボタンを押し変身を楽しんだ。

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いるかのグリッピーへ続く


posted by 冬野☆男 at 18:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 第2章 大航海 怪鳥ヤタガラス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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