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2006年09月03日

第3章 怪奇島 巨石像(1)

復習する

巨石像

『サスケ』達は嵐の海で磁気嵐と落雷にあい、時空の結界を越えてしまったらしい。『サスケ』達を乗せた『カメレオン号』は、無惨にも白砂の海岸に打ち上げられていた。仲間は全員ばらばらに、砂の上に倒れていた。
先ほどの嵐が何事も無かったかのように、明るく暖かな日差しが『カメレオン号』と乗組員にさんさんと降り注いでいた。
『カメレオン号』のマストの先には、何時飛んできたのかあのヤタガラスの勘三郎が留まって、事の成り行きを見守っていた。
正体不明の船と異国人の出現に、島の住民たちは我先にと集まってきて、遠巻きに眺めていたが、一定の距離を保ち、それ以上には決して近づこうとはしなかった。
いつの間にか、人だかりは30人を優に超えていた。
そして丘の上や海岸線にたたずむ、巨石像も彼らを見下ろしていた。巨石像の瞳は心なしか愁いを帯びているようにみえた。この日の来るのを待ちわびていたように。
 最初に目を覚ましたのは、学者君(野口博士)だった。
 彼はうつぶせに砂の上に倒れていたが、やがて目を覚ましたらしく、ゆっくりと上体を起こし始めた。
 学者君は未だに事態を飲み込めていない様子で、頭を左右に振りながら辺りを眺め回した。うっすらと、記憶が蘇ってきたようだ。
 「そうだ。僕たちは太平洋の真ん中で嵐に巻き込まれたのだ。確か、目の前で稲妻が炸裂したまでは覚えているが、その後どうなったかは全く覚えて無い。」
 気がつくと、砂の上に倒れている自分があった。
「どうやら命は助かったようだ。」
と、つぶやいた。
「皆は大丈夫だろうか。」急に、仲間のことが気になった。
学者君は、まだ焦点の定まらない両目を目一杯見開き、仲間を捜し求めていた。
彼の目には、砂浜に倒れている大勢の仲間の姿が映った。
「どうか無事でいてくれ。」
と、祈らずにはいられなかった。
学者君の思いは杞憂にすぎなかった。皆は次々と目を覚まし始めた。
「やあ、大丈夫か。」「ぼくは無事だ。」「わたしも大丈夫よ。」
皆は口々に、仲間の無事を確認しあった。
どうやら全員無事のようである。
「ここはどこだろう。沢山の巨大な石像がぼくたちを見下ろしているよ。」
「イースター島の石像のようなものがたくさんあるわね。」
「でも、ぼくたちが嵐にあった海域は、イースター島からはだいぶ離れているから、違うんじゃないの。」
「とにかく全員無事で何よりだ。」

突然の侵入者が起き上がり、動き出したのを見て、島の住民たちはざわめきだした。
その中の一人の青年が、意を決したように近づいてきた。
「はじめまして。私はアドルフといいます。この島の青年部の者です。あなたたちは何者ですか。そして何処から来たのですか。この島の掟では、残念ながらよそ者は上陸できない事になっているのです。わたしたちの何代も何代も前の時代に、侵略者たちが大勢でこの島に現れ、わたしたちの文化や伝統を見るも無惨にしたことがあるのです。人々の心はすさみ、殺戮と強奪の時代が何代にもわたって続きました。金銀財宝、珊瑚など金目の物はほとんど持ち出されました。侵略者たちは、この島から奪う物がなくなったことを知って、島から出ていきました。
それを機会に、外国とは関係を持たない鎖国制を執ったのです。
文明から遅れても良い。貧乏でも良い。その代わり、わたしたちは民族の誇りと、文化を大切にすることにしたのです。
そして今から100年ほど前、ようやく平穏な日々が訪れたのです。わたしたちは、この平和な暮らしを失いたくないのです。」
と、青年はいった。
自分たちの船が航海中に嵐に遭い、気がつくとこの砂浜に打ち上げられていたことを、海江田船長が伝えた。そして、自分たちは決して怪しい者ではないし、島の平和を脅かす者でもない。船の状態を点検したり、食糧や水の確保、たぶん船も修理したりしなければいけないので、出来れば暫く上陸を認めて欲しい旨をお願いした。
アドルフは、白いあごひげをはやした老人の所に引き返し、何事か話していたが、やがて船長の前に戻り、話し始めた。
「クプクプ長老はこう言われた。『我々は争いごとを好まない。よそ者を島に入れると必ず争いごとが起こる。従って、よそ者は絶対に入れない定めなのだが、なぜか、我々の守護神であるヤタガラスの勘三郎様が上陸をお認めになったので、特別に許可することにした。ただし、どんな些細なことでも島民といざこざを起こしたり、島にとって迷惑な行いがあったときは、直ちに立ち去っていただく。』とな。」
「それは助かります。できるだけ早く出発できるよう努力致しますので、お願い致します。」
『カメレオン号』のマストに止まってじっと様子を眺めていたヤタガラスの勘三郎は、アドルフがクプクプ長老の伝言を伝え終わると、一声『クアー』と鳴いて、島の西の方にある林に向かって飛び去っていった。

巨石像(2)へ続く

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posted by 冬野☆男 at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 第3章 怪奇島 巨石像 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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