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2006年09月10日

第3章 怪奇島 タスマニアフクロオオカミ

復習する


タスマニアフクロオオカミ

「学者君、絶滅動物はジャイアントモアだけじゃないみたいだよ。あそこにいるのはタスマニアフクロオオカミじゃないか。」
とノッポ君が言った。
ノッポ君が指さした先にみんなが顔を向けると、確かに特徴のある縞模様のはっきり見える、タスマニアフクロオオカミがこちらの様子をうかがっていた。
タスマニアフクロオオカミは、満腹らしくこちらを襲ってくるような気配は見られなかったが、油断は禁物である。
ぼく達はタスマニアフクロオオカミから目を離さずに、徐々に後ずさりして、離れていった。
タスマニアフクロオオカミは、自分のテリトリーから侵入者が出て行ったのを見届けると、茂みの中に姿を消していった。
「前から不思議に思っていたのだけれど、ここは、僕たちの住んでいる世界とは違う世界じゃないか。海江田船長も、海図に載ってないので皆目見当がつかないと言っていたし。」
と、学者君。
「学者君もそう思うかい。実は、僕も変だなと思っていたところなんだ。絶滅したはずのジャイアントモアやタスマニアフクロオオカミがこの島には生息しているんだ。全く驚きだぜ。この先何が現れるかと思うと本当にゾクゾクしてくるぜ。」
と、ノッポ君は目を輝かせて言った。
 「マンモスとか、サーベルタイガー、スーパーザウルスなんか現れたら感激しちゃうな。」と竜馬君。
『サスケ』達は、これか先、どんな動物が潜んでいるかしれないので慎重に進むことにした。
小学生や女の子を列の真ん中に入れ、前後を大学生・高校生のお兄ちゃんたちが挟む格好で進んでいった。
タスマニアフクロオオカミがいたところを避けながら大きく迂回して、進路を南に変えて進むことにした。
灌木や、ごつごつした大きな岩のある草原をしばらく行くと、小高い丘が見えてきた。緩やかな上りの斜面いっぱいに淡いピンクと白い花が咲き誇っているのが見えた。まるで絨毯を敷き詰めたような美しさで、女の子達は一斉に歓声を上げた。
花の蜜を求めて、色とりどりの蝶々や、蜂が飛び交っていた。それはまるで地上の楽園のようであった。
太陽は真上にさしかかっており、ちょうど昼時になっていた。ここでしばらく休憩をすることにして、皆はマリア様が作ってくれた弁当を広げた。
「やっぱりマリア様の弁当は美味しいや。」と『泣きブタ』君。
「本当に美味しいね。」と『ネネ』ちゃん。
食事が終わると女の子たちは、周りの花を摘み始め、かわいらしい首飾りや、王冠を作って遊んでいた。
サキちゃんとネネちゃんは摘んできた花束で、花占いを始めた。もちろん、恋占いである。女の子にとって、占いは生活の一部になっていて、何にもまして重要なことなのである。
一時間ほど自由な時間を過ごして、『サスケ』達は再び進み始めた。
丘の上からあたりを見渡すと、南の方は深いジャングルになっており、足を踏み入れるのには勇気がいる。ましてや、小学生や、女子の混じった探検隊では無理は出来ない。
西の方は、草原が続いており、所々に灌木が茂っていた。草原は海岸まで続いているように見えた。
一行は迷わず、西に進むことにした。歌を歌い、葦のラッパを吹き鳴らし、突き進んでいった。
海岸に着くとそこは断崖絶壁になっており、海に降りられるようなところはどこにもなかった。
そして、そこにも巨石像がいくつも並んで立っていた。すべてが同じ方向を向いていた。
何のために、この巨石像が造られたのだろう。そして、どうして、同じ方角を向いているのだろう。『サスケ』は不思議に思った。いや、不思議に思ったのは、『サスケ』だけではなかった。ノッポ君も、学者君も、メガネ君も、マンガ君も誰もが不思議に思った。
いつか村の人に、この巨石像について話を聞いてみよう。と、思った。


太陽の高さも次第に傾いてきて、丁度45度ぐらいになっていた。あまり遅くなると、大人たちが心配するといけないので、今日の探検は、ここまでにして、『サスケ』達は帰路につくことにした。
『サスケ』達は今きた道を逆に辿って、歩き始めた。草原を通り抜け、花の咲き誇っていた斜面までは何事もなく順調だった。
ここから先の草原は注意して進まなければならない。午前中、タスマニアフクロオオカミに出会ったところはもうすぐである。でも、彼らが見かけたのは、たった1頭のタスマニアフクロオオカミだったので、ほとんど警戒などしていなかった。
日の落ちる速度は思ったより早く、辺り一面夕焼けで真っ赤に照り映えていた。急がないと、日没までに海岸にはたどり着けなくなる。
このとき、彼らは気づいていなかったが、12個の鋭い眼光が一行を中心に動いており、その距離は次第に狭まっていった。
オオカミは、集団で狩りをする習性があり、機会をうかがっていたらしい。リーダーらしいオオカミの鳴き声が響きわたり、彼らの前方の草がざわめいた。
「しまった。大変なことになった。」と、『サスケ』は覚悟した。しかしオオカミは、すぐには襲いかかってこなかった。こちらの動きを伺っている。女の子たちは恐怖にうちふるえて今にも泣き出しそうだった。
高校生の竜馬君や学者君達は、地面に落ちている木立や、石ころを拾い、戦う準備をした。
オオカミは、いよいよ体勢を低くし、地面近くまで顔を近づけ飛びかかる寸前だった。
彼らも身構えた。正直もう駄目だと思った。
落ち着かなければ、『サスケ』はとっさに「リン、ビョウ、トウ、シャ、カイ、ジン、レツ、ザイ、ゼン」と早口で唱え、九字の印を切った。
続けて、ポケットから赤煙玉を取り出し、オオカミのいる地面に向かって投げつけた。
一瞬真っ赤な炎とともに赤煙が舞い上がり、オオカミたちは立ちすくんだ。動物は火に弱いと言うことを思い出し、赤煙玉を選択したのだ。
赤煙玉が炸裂したそのとき、すさまじい地響きとともに、7羽のジャイアントモアが一行とオオカミの間に飛び込んできて、翼を広げオオカミを威嚇した。オオカミが一瞬ひるんだ隙に、彼らに背中に乗るように合図をした。
『サスケ』達が、ジャイアントモアの背中にまたがると、ジャイアントモアは砂塵を上げて一斉に走り出した。ジャイアントモアは草原を一気に走り抜け、砂浜の続く海岸線までたどり着くと、走るのを止め、『サスケ』達をおろした。  
危機一髪のところで、一行は命拾いをした。
ジャイアントモアは、子供たちを背中からおろすと、今来た道を足早に引き返していった。

子供たちは、今日あった出来事を大人たちに報告した。でも、タスマニアフクロオオカミに襲われそうになったことは話さなかった。大人たちが心配して、明日からの探検を止められてしまうような気がしたからである。
今日子供たちは、ちょっと危険な目にあったけど、とても高揚した気分だった。だって、動物園に行っても見ることの出来ない、図鑑かコンピュータグラフィックでしかお目にかかれない絶滅動物に出会ったのだから当然といえば当然である。
この島は、何があるかわからない、未知の島だ。
夕食後『サスケ』達は、ノッポ君たちの部屋に集まって、作戦会議を開いた。もちろん、明日からの探検についてである。
相談の結果明日は、島の南東の地区を探検することになった。アドルフさんの話では、島の南の方には村人の集落があるので、ひらけているらしいが、今日のようなことがあるといけないので『サスケ』は煙玉と、マキビシ、手裏剣、などを持って行くことにした。
それと、野生動物には役に立つかわからないけれど、動物と会話のできる【バウリンガル・アニマル】も持って行くことにした。
さらに、ドクター大松さんが発明したエアーセグウェイという乗り物を使うことにした。これは、地上と空中を自由に動き回れる乗り物で、普段は地上を走り回るけど、道が無いところや、水の上はホバークラフトのように地面から浮き上がって進むことができる。体重の移動だけで右にも左にも自由に動くことができる。左右にタイヤがついていて初心者でも自転車と違って倒れることのない魔法の乗り物なのだ。
結構スピードも出て、最高時速80qで走ることが出来るので、子供たちは鶴亀造船所の中や『カメレオン号』の甲板でレースをして楽しんでいた。コーナリングでいかにスピードを落とさないで走ることができるかがポイントである。
空中移動はそれなりにエネルギーの消費が激しいので、出来るだけ車輪を使って地上を移動するほうが良い。
ちなみに、子供たちの間では『サスケ』がチャンピオンである。テクニックではチョロキュウ君の方が上だが、『サスケ』は度胸がある分勝っている。
チョロキュウ君は、エアーセグウェイの曲乗りが得意である。まっすぐ走っていったかと思うと、いきなりスピンターンをしたり、ジャンプをしたり、まるでオリンピックのウルトラCのような曲乗りが得意である。
2048年のオリンピックから正式種目に採用されるようになった。
大きく分けるとスピードのタイムを競うのと、技を見るのとがある。
冬のオリンピックの競技では、雪の降らない地域の参加者は不利だったが、エアーセグウェイは平等であるということで採用されることになったらしい。



深まる謎へ続く





fukuroookami-01.jpgタスマニアフクロオオカミ
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