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2006年09月13日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 忍者通信5号(1)

復習する

 忍者通信5号

『サスケ』たちは、アドルフさんの協力を得ながら、およそ1ヶ月かけて島中の巨石像を調べ尽くしたけれど、天の岩戸伝説につながる情報は全く掴めなかった。
子どもたちは、今までのことを総括するためと今後のことを打ち合わせするために、会議を開いた。
会議と言っても、そんな堅苦しいものじゃなくて、いわゆるミーティングである。
「アドルフさん、ぼくたち島中の巨石像を調べてみたけど、天の岩戸伝説に結びつくような情報は何も得られなかったね。」とノッポ君。
「そうだね。なにしろぼくのおじいさんの、そのまたおじいさんの、そのまたおじいさんの、何代も何代も前の古い話だからね。」
アドルフさんは申し訳なさそうに答えた。
「それで、僕からの提案なんだけれど、かなり危険だけれど、黄泉返りの森に行ってみようと思うんだ。もう、この島で調べていないのは黄泉返りの森ぐらいしかないからね。」とアドルフさんは切り出した。
「以前に、あの森は危険だから近づかないようにといわれましたよね。」
「そうなんだ。危険だから近づくなということは、本当に危険なのか、近づいてもらっては困ることがあるのかのどちらかだと思うんです。黄泉返りの森にいけば何かがわかるような気がするんです。」
「昔々、ぼくたちの先祖があの黄泉返りの森に何かを隠した。あるいは、何かを発見した。それを知られるのを隠すために、近づかないようにと触れ回ったに違いない。きっと、あの森には何か秘密がある。ぼくはそう睨んでるんです。」
アドルフさんは確信ありげな口調で言い切った。
「それはそうかもしれないが、あの森にみんなで行くのは、ちょっと危険すぎる。下調べに先発隊を送り込もう。第一陣は5名くらいに絞りたいと思う。参加したいものは挙手をしてくれ。」キャプテンが言った。
キャプテン、ノッポ君、学者君、チョロキュウ君、サキちゃん、マンガ君、トンボ君、サスケの8名が手を挙げた。女の子で名乗りを上げたのは、サキちゃんただ一人だった。
「サキちゃん大丈夫、怖くないの。」
「あら、あたし平気よ。だって、面白そうじゃん。」サキちゃんは即座に答えた。
「ぼくは止めとくよ。」泣きブタ君は、今にも泣き出しそうに小さい声で言った。
「希望者が多すぎるので、ここは公平にあみだくじで決めよう。」キャプテンはそう言うと、一枚の紙と鉛筆を取り出し、縦に8本の線を引き、その下に当たりの印の二重丸を5つ書いた。その線の間に階段状の横線を何本か書き入れた。当たりの印が見えないように用紙を半分ほど折り、好きな線を選んでその線の上に、自分の名前を書くように言った。さらに、何本かの横線を書き加えるように促した。
キャプテンといえども、はずれたら参加することは出来ない。みんな真剣だ。
サスケは、何とか当たるようにと心で念じた。そして、必ずメンバーに選ばれるように「十字法」の勝という字を手のひらに書いてから、自分の名前を書いた。
「十字法」のおかげかサスケは運良く、メンバーにはいることが出来た。サスケはこのとき忍術を習っていて本当に良かったと思った。
「天は、ぼくに味方した。」
「やった。」
「うれしい。」
「おれは、くじ運が強いんだ。」
キャプテン、ノッポ君、サキちゃん、トンボ君がそれぞれ当たりを引き当てた。
「あーあ。しくじったか。」
「ほんとついてないよな。もう一本線を引いとくんだったな。」
チョロキュウ君とマンガ君はとても悔しがっていた。サスケもはずれていたら、どんなにか悔しかっただろう。そう思うと、はずれた仲間には申し訳ないけど心底うれしくなってきた。
留守部隊には、次の探検には必ず連れて行くことで了承してもらった。
サスケは、メガネ君に、必ず暗号携帯メールで連絡をすると約束をした。
メガネ君も楽しみにしていると喜んでくれた。
サスケたちは毎日暗号のやりとりをしているうちに、暗号を解くのが早くなっていた。字面を見ると何となく何式で解くのかが分かってきたようだ。
サスケは、ドクター大松さんに、携帯電話で普通に文字を打って、送信するときに変換キーを押せば暗号文に変わるソフトを作れば、絵文字みたいに大ヒットすると思うと提案した。
ドクター大松さんも大いに乗り気だったから、そのうち商品化されるに違いない。世界中に流行ったりしてね。
そうしたら、ぼくたちは大金持ちになれるねと冗談交じりにサスケとドクター大松は話していた。
暗号なら、他人に読まれてもすぐには分からないからいいよね。良く電車の中なんかで、他人の携帯メールのぞき込んでる奴っているからね。
でも、悪人が犯罪の打ち合わせに使用すると大変なことになる。


忍者通信5号(2)へ続く

2006年09月15日

第4章 黄泉(よみ)返りの森 忍者通信5号(2)

復習する


サスケたちは、いよいよ黄泉返りの森を探検することになった。
黄泉返りの森は、はるか昔役に立つ薬草や、キノコ類、木の実が採れることから島民に大事に管理されてきたが、度重なる部族同志の争いで、手入れされることが無くなり、あれさびて、いつしか絶滅動物が現れる不思議な森と化してしまった。
それ以来顧みられることがなく、誰も足を踏み入れたことがない、という。
名前こそ森と呼ばれているが、森と呼べるのは、裾野のほうだけで、実際は大きな山だ。その広さは島全体の三分の一位あり、山の中腹からは背の低い灌木地帯になり、さらにその上は岩肌がむき出しの険しい山岳地帯となり、山頂付近はいつも濃い霧に覆われていて、その全貌を現したことが無い。
どんなに危険な動物が現れてくるかもしれない。ジェラシックパークやモロー博士の島の絶滅した肉食恐竜のティラノザウルスやほ乳類のサーベルタイガーのような恐ろしい生き物はいないのだろうか。
空想世界に出てくる、オークやミノタウルス、ケンタウルスのような生物が出てこないとも限らないだろう。
なにしろ、この島には既に絶滅してしまったジャイアントモアやタスマニアフクロオオカミが生息しているのだから。そして現実には神話の中に登場するヤタガラスもいる。島にはヤマタノオロチ伝説もあって、島民たちは誰もがヤマタノオロチはいると断言している。
今まで、ヤマタノオロチに遭遇してそのことを口にしたものは、全て災いに見舞われており、そのことを口にすることはタブーになっていた。
とにかく、何があってもおかしくない、それがこの島なのだ。
ぼくは期待と不安で胸の鼓動が高鳴った。

「おやびん。子供たちはどうやら『黄泉返りの森』の探検に向かうようでおます。わてらも出かける準備を整えておきまひょう。」
「おまえ、確か生まれは青森だったよな。どうして関西弁なんかで話すのだ。」
「いえね、ガキの頃親父の仕事の関係で岸和田と言うところに3年ほど暮らしたことがおましてね。そのとき覚えましてん。」
「それにしても、おまえの関西弁は様になっていないな。普通にしゃべった方が良いよ。聞きにくくて仕方がない。
それは置いとくとして、まあ慌てることもないだろう。彼らだって、今回は簡単な装備では出かけられないだろうから、準備に時間が掛かるだろう。今の内に、忍者通信を出しておきなさい。今回のテーマは、探検に臨んでの心構えだ。よいな。」
「へーい。ガッテンしょうちのすけ。」

サスケ達が、黄泉返りの森の探検のための準備をしていると、いつもの伝書鳩が忍者通信5号を運んできてくれた。
「ねえ、何が書いてあるの。早く読んでよ。」
サキちゃんがせかした。
サスケは、準備に忙しかったけれど、ちょっと仕事の手を休めて忍者通信を開いた。

ninnjyatuusinn5.bmp

それにしても何故、サスケ達が黄泉返りの森を探検することを知っているのだろう。サスケには不思議でならなかった。
いずれにしても、忍者通信が言ってることは至極ごもっとものことなので、無視することは出来ない。
「ふうーん。つまんないな。もっと新しい忍術のわざとかが書いてあると思ったのに。期待して損した。」
「あっ、これは凄い。凄いよ、サキちゃん。」サスケは、おまけのプレゼントを手にして叫んだ。
プレゼントの説明書には、『このペンで書いても何も見えません。しかし、あぶり出しライトの光を当てると、書いた文字や絵が現れます。』と書いてあった。
「サキちゃん、このペンで地図の上に秘密の場所を書いておけば安心だよね。それに、秘密の文章もこれがあれば読まれる心配もないよ。」
「本当ね。良いものもらったわね。石川弐右衛門半商店て気前が良いのね。」
「そうなんだ。前にも煙玉のプレゼントを頂いたし、七方出を買ったときは、服部半蔵の直筆サインをもらったし、代金は出世払いで良いと言うし、だからまだお金は払ったこと無いんだよ。」
「服部半蔵の直筆サインって、本物なの。胡散臭いわね。出世払いっていうけど、サスケ君の出世って、どうなれば出世なの。」
「え、わからないよ、そんなこと。出世しようなんて思ったこともないしそんなこと、第一考えてもみたこともなかったよ。だいたい出世って何なんだろう。会社勤めなら、課長になって、部長になって、社長になることを出世って言うんだろうけど、それって意味があるのかなあ。ぼくには良くわかんないなあ。サキちゃんは、どう思っているの。」
「あたしもよく分からないけど、世の中に認められることかな。別に大発明をするとか、大きな仕事をするとかじゃなくても良いんだけど、とにかく認められること。」
「出世払いというのは、別の言葉で言うと、『ある時払いの催促なし』と同じだよ。」
ノッポ君が、口をはさんできた。
「要するに、お金は払いたくなければ払わなくても結構です。と言うことさ。」
「なあーんだ。サスケ君、得しちゃったじゃない。」とサキちゃん。
「そうはいかないよ。ぼくはやっぱり払うよ。自分でお金を稼げるようになったら、必ず払うよ。借りっぱなしでいるのって、食事の後歯を磨かないのと同じで、気持ちが悪いじゃないか。」
「サスケはまじめだなあ。おまえみたいな奴ばかりだったら、世の中平和で良いのにな」


第一次隊(1)へ続く



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